障害者雇用環境の向上を目指す新ツール、京都府が開発
京都府が新しく開発した「障害者雇用環境アセスメントツール」が、障害のある求職者と企業とのマッチングを効果的に支援します。このツールは、京都大学の村田淳准教授の監修のもと、企業が求職の際に自社の職場環境や職務に必要な適性を可視化することを目的としており、今日から企業の利用申込を受け付けることが発表されました。
ツールの概要と活用効果
このツールの最大の特徴は、企業の担当者がツール内のチェック項目に回答することで、職場環境や業務に求められる求職者の適性を視覚的に把握できる点です。その結果、企業は求人票を通じて、求職者がどのような環境で自分の能力を発揮できるのかを知らせることが可能となります。これにより、企業と求職者のマッチングがよりスムーズに行えることが期待されます。
さらに、企業が回答した結果から、自分たちの雇用環境を客観的に理解し、働きやすい職場を作るためのロードマップとしても利用できるのです。このツールは、回答が約20〜30分で完了するため、気軽に試すことができます。分かりやすい質問が用意されており、事務、作業、販売・サービスの3つの職種に対応したシートが用意されています。
背景と開発経緯
近年、障害のある人の社会参加に対する意欲が高まっている一方で、精神的・発達的な障害を抱える求職者の平均勤続年数が短い傾向にあることが問題視されています。ミスマッチによる離職を防ぐために、求職者と企業のニーズに基づいたマッチングが不可欠とされてきました。しかし、求人の際に必要な情報が十分に開示されていない場合が多いため、京都府ではこの問題を解決するためツールの開発を行いました。
利用申し込みと詳細
このツールは、障害のある方の雇用や実習を検討している企業が利用することができます。利用方法は、京都府の公式ウェブサイトから申し込むことで、利用料は無料です。企業や求職者にとって、より良い雇用機会を提供するための重要なステップとなるでしょう。
監修者のメッセージ
村田淳准教授は、本ツールの意義を強調し、障害のある人が安心して働ける環境を作るためには、社会や組織内のバリアをどう取り除くかを考えることが必要であると述べています。企業にとっては、職場を客観的に理解し、改善に向けた行動を促すためのツールとなると同時に、より良いマッチングを生み出すための助けになることを期待しています。
開発チームと協力者
このツールの開発には、京都労働局職業安定部や京都障害者職業センターなど、多くの専門家たちが関与しました。また、企業モデルとして第一工業製薬株式会社や環協株式会社、アソウ・ヒューマニーセンターなどが参加しています。
「障害者雇用環境アセスメントツール」は、今後ますます重要性を増す障害者の職場環境整備を促進し、社会全体の雇用の質を向上させることに寄与することでしょう。ピアサポートや研修プログラムと連携して、障害者の雇用促進に繋がることが期待されます。