FRONTEOとエヌビィー健康研究所、創薬革新に向けた提携
株式会社FRONTEO(東京都港区)は、北海道大学発のスタートアップ企業、株式会社エヌビィー健康研究所(NBHL)と手を組み、新たな抗体医薬品の開発を目指す重要なステップを踏み出しました。両社は、FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」と、NBHLの独自プラットフォーム「MoGRAA」を組み合わせる形で、実証実験(PoC)に関する契約を締結しました。
各社の技術と強み
FRONTEOは自社で開発した特化型AI「KIBIT」を活用して、文献情報から未知の関連性を発見する独自の技術を持ち、疾患関連性の高い新しい標的分子を抽出しています。このDDAIFは、特許技術に基づいて疾患と標的分子の新たな関連性を発見できることが特徴です。
一方、NBHLはGPCR(Gタンパク質共役受容体)を標的とした抗体医薬品の開発に特化した企業で、プラットフォーム「MoGRAA」によって高選択性を持ち、機能を制御できる抗体を効率的に取得する技術を備えています。これにより、従来の創薬が難しかったGPCRに対する新たな治療法の開発が可能になっています。
共同での創薬を目指す
今後の取り組みでは、NBHLが保有する既存の抗体医薬品のパイプラインを活かしつつ、新しい標的の探索も行う予定です。GPCRは多くの薬剤の標的として注目されていますが、副作用のリスクから開発が困難な例も多数あります。FRONTEOとNBHLの連携により、こうした課題への新たなアプローチが期待されています。
この契約において、両社はDDAIFとMoGRAAを駆使し、従来は難しかったGPCRやその関連疾患に対し、新たな医薬品を開発する革新的なアプローチを目指します。この挑戦は、日本の創薬エコシステムの強化にも繋がり、日本発の医薬品創出を加速することが期待されています。
日本政府も、「創薬力向上のための官民協議会」を立ち上げるなど、創薬エコシステムの構築に力を入れています。この割合での取り組みは、産業競争力を高め、医療の安全保障にも寄与するものと考えられます。
エヌビィー健康研究所の意気込み
エヌビィー健康研究所の取締役/CSOである髙﨑氏は、GPCRが重要な創薬の標的でありながら、その複雑な構造が抗体創薬の障壁であることを指摘しました。彼は、FRONTEOのAI技術と自社の技術を融合することで、抗体医薬品の創出を加速させ、新たな疾患とGPCRの関連性の発見を通じて世界中の患者に革新的な治療薬を提供する意向です。
FRONTEOの貢献
FRONTEOの取締役/CSO、豊柴氏は、同社のDDAIFが標的候補に関する仮説構築をサポートし、研究者の意思決定を支える役割を果たしていると述べました。彼は、NBHLとの提携は医薬品研究の実現に向けた重要な一歩であると強調しました。双方の強みを生かしながら、革新的な医薬品の創出を目指すこの取り組みは、今後の医薬品業界における新たな方向性を示唆しています。
FRONTEOとNBHLの提携により、日本の創薬分野での新たな突破口が開けることが期待されています。医療業界における進展や患者のQOL向上に向け、今後も注目されるプロジェクトとなるでしょう。