唇あれの秘密を解明したコーセーの新技術と製品
株式会社コーセー(東京都中央区)は、唇のあれやすさの一因がバリア機能を支える細胞間脂質の密度が低いことにあると特定しました。これにより、唇の乾燥やひび割れに悩む人々の救世主となる新しいリポソーム製剤を開発し、その効果を確認しました。
唇の重要性と悩み
唇は私たちの印象を大きく左右する部分であり、魅力的で健康的な唇は、誰もが求める美しさの象徴です。しかし、多くの人が唇のひび割れや皮むけ、さらには慢性的な乾燥に悩んでいます。これまで、リップクリームなどの保湿製品が効果をもたらしてきましたが、根本的な改善には至らない場合もあります。
唇の構造には、皮脂腺や汗腺がなく、角層が薄いことが知られています。皮脂や汗が分泌されないため、唇のバリア機能が劣化しやすく、水分を失いやすい状態が続くのです。この問題を解決するためには、単なる保湿材以上のアプローチが必要であると考えられました。
新発見:唇の細胞間脂質の密度
研究チームは、唇と肌の細胞間脂質の密度を比較し、その結果、唇の密度が肌よりも低いことを突き止めました。この低い密度が、唇が他の部位に比べて乾燥しやすい原因であることが示されました。電子線回折や赤外分光法を使用して行った詳細な評価により、唇のあれや水分量の低さが、細胞間脂質の充填構造の変化と強く関連していることも確認しました。
リポソーム製剤の開発と効果
研究結果を基に、コーセーは唇あれの改善を目的とした新しいリップケア製剤を開発しました。この製品には、肌における細胞間脂質の密度を改善することが証明されているリポソームが含まれており、連用することで唇の外観と水分量の改善が期待されます。
実験に参加した30名の方々に、このリポソーム製剤を4週間使用してもらい、使用前後での水分量や外観の変化を評価しました。その結果、外観の改善や水分量の増加が見られ、特に細胞間脂質の充填構造が高密度になることが確認されました。
未来の展望
この研究によって、唇あれが細胞間脂質の密度に起因することが明らかになり、リポソーム製剤が唇の健康を改善できることが示されました。これらの成果は新製品の開発に生かすとともに、さらなる基礎研究と主に効果的な製剤開発へとつなげていく方針です。今後、コーセーはこの知見を基に、より多くの方々が健康で美しい唇を手に入れる手助けを行うでしょう。