経理業務におけるAIの浸透状況とその未来
2023年、株式会社インボイスが行った調査は、経理業務におけるAIの活用状況を浮き彫りにしました。約327名の経理担当者を対象にしたこの調査では、生成AIを用いた業務効率化がどれほど進んでいるのか、その具体的な状況と抱える課題について掘り下げています。特に、経理業務に従事する約8割の担当者が、AIによって自身の職務が消失する可能性を強く感じていることが明らかになりました。
調査の目的と結果の概要
本レポートでは、企業の経理担当者がAIをどのように活用しているのか、また導入に際して直面している課題を明らかにすることを目的としています。幅広い設問を通じて、経理部門における生成AIの実態を収集しました。調査結果によると、AIを利用している業務の中で最も多い回答は「特定の業務はないが部分的な補助」で42.1%を占めました。これは、業務の完全な自動化ではなく、作業負担の軽減を主な目的にしていることを示しています。
一方で、定型的な処理においては「請求書の仕訳自動化」(35.8%)や、法令解釈(32.6%)、契約書の校閲(20.0%)と、幅広い分野にわたってAIが活用されています。しかしながら、業績予測(14.7%)やレポーティング(10.5%)など、高度な判断を要する領域ではまだ活用が進んでいない現状も浮き彫りになりました。
AI活用に対する課題
調査結果の中で顕著だったのは、AIの活用に対するハードルです。「使い方がわからない」(22.5%)や「専門人材がいない」(21.2%)、さらに「適した業務が分からない」(18.6%)といった項目が上位を占め、知識やスキルの不足が大きな障害となっていることが明らかになりました。加えて、「会社が認めていない」(15.1%)という制度上の制約や、「ハルシネーションのリスク」(15.1%)、「著作権侵害リスク」(12.2%)など、技術的・法的な懸念も根強く残っています。
これらの要因から、AIに対する期待は高いものの、その活用が進まない実態も浮かび上がっています。
経理業務の未来とAI
調査によると、AIによって業務が大幅に減少する可能性を感じる経理担当者は約78%に上ります。「大いに感じる」(15.1%)、「まぁまぁ感じる」(29.3%)、および「少し感じる」(33.4%)を合わせてこの割合になります。このデータは、自動化に対する危機感だけでなく、それが直接自身の職務にも関わっているという意識が強いことを示しています。企業におけるAI導入が進む中、経理担当者自身がどのように変化に対応できるかが、今後の課題となります。
インボイスの調査レポートでは、経理業務におけるAI活用の実態についての詳細が掲載されています。ぜひこの機会に、導入の運用のヒントとして素材を活用されることをお勧めします。
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株式会社インボイスについて
株式会社インボイスは1992年に設立され、2018年には芙蓉総合リースのグループ会社となりました。現在は、通信費や水道光熱費の一括請求サービス「Gi通信」「OneVoice公共」を提供し、法人向けの経理業務に特化したBPOサービスの拡充を進めています。経理業務の生産性向上に寄与するためのパートナーとして、今後も企業のニーズに応え続けるでしょう。