東日本大震災から15年、見えない社会問題に直面
東日本大震災からの復興を遂げた地域において、目に見えない新たな社会問題が浮上しています。被災地の住民の高齢化、単身世帯の増加、地域コミュニティの希薄化により、誰にも看取られずに死を迎える孤立死のリスクが高まっています。この現象は「無縁化」とも言われ、実は表面には見えない「第二の災害」としての深刻な課題です。
被災地が抱える孤立死の実態
復興に伴うハード面の整備は進み、多くのインフラが整った一方で、社会的なつながりの弱体化が進んでいます。特に、災害公営住宅における孤独死の問題は顕著であり、2014年から2024年までの間に、宮城県では600名以上の孤独死者が報告されています。特に、入居から年月が経つにつれて孤立が進行し、孤立死の発生率も高まる傾向にあります。
具体的には、宮城県では2025年に54名の孤独死が予測されており、被災地全体では680名以上が確認されています。このような状況は、単なる数字ではなく、地域住民の生活そのものに影響を及ぼしています。
「てあわせ」の取り組み
そんな中、一般社団法人てあわせは、孤独死を防ぎ、終末期における葬送や供養に対応するための終末支援プログラムを発展させてきました。この活動は、震災の犠牲者への鎮魂から始まりましたが、遺族との対話を通じて今を生きる人々の不安を視認しました。彼らは、既存の制度では救えない「死の課題」を理解し、その隙間を埋めるべく様々な活動を展開しています。
主に、終活セミナーや相談会の開催、樹木葬と呼ばれる新しい葬送の形を提供し、地域住民の終末期の不安を和らげる試みを行っています。
現場の声と社会の反響
実際に、仙台や石巻で行われている終活セミナーには、60〜70代の市民が多数参加しており、彼らからは日々感じている不安や悩みの声が寄せられています。これらの問題は被災地だけのものではなく、全国的に広がりを見せる「超多死社会」の一部であり、多世代で共有される課題です。
未来への展望
注目されるのは、この地域特有の問題ではなく、全国規模での「誰一人無縁で終わらせない」という目標のもとに、活動が進められている点です。2026年を見据え、てあわせはNPO法人としての組織化を計画しており、これによりより広範な公共性と持続性を持った取り組みが可能になります。
私たちが目指すのは、孤立を解消し、共に支え合う社会です。地域の力を集結させ、終活への意識を広め、より良い生活を送るきっかけを提供することで、被災地の経験を全国へ伝えたいと強く願っています。私たちの活動を通じて、「手をあわせ、誰も無縁のまま取り残さない」という信念を実現し、未来の社会に貢献していく所存です。天候や時間が過ぎても、私たちの思いは変わりません。全ての人が生命を尊重し共に生きる、そんな未来を手に入れましょう。