ニチレイ・アイスがAIによる革新を実現
株式会社ニチレイフーズが展開する製氷事業を行うニチレイ・アイスは、AIシステムの導入を通じて、生産や輸送、在庫計画の業務を大幅に効率化しました。この革新的なシステムは、株式会社日立製作所との協力のもとで開発されたもので、包装氷という季節性の強い商品の需要変動に柔軟に対応することが可能となっています。
背景:包装氷の需要変動
包装氷は、特に夏季に需要が集中するため、需要予測が困難です。従来の方法では熟練者の技術に頼る部分が多く、正確な需要を予測することが難しく、高度な生産・運用計画が求められています。これにより、作業者の負担が増す一方で、生産や輸送、在庫計画の立案にコストと時間がかかるという課題が存在しました。
AIシステムの概要:数理最適化技術
新たに導入されたAIシステムは、数理最適化技術を駆使しており、複雑な生産条件や熟練者の経験則をインプットし、約200万通りの計画を自動的に組み合わせて最適解を導き出します。このシステムの導入により、計画立案にかかる時間を約70%削減する効果が確認されており、より迅速に市場の需要に応じた生産体制を整えることが可能となりました。さらに、季節の変動に応じた計画の柔軟な修正も行える点が特徴です。
向上した業務プロセス
このAIシステムの導入によって、ニチレイ・アイスは計画立案の質が向上し、従来の人手作業に依存する部分が少なくなりました。これにより、熟練者への依存度を下げ、業務の属人化を解消。また、従業員の負担も減少し、よりクリエイティブな業務に集中できる環境を整備しています。このような取り組みは、企業全体の働き方改革の一環として位置付けられています。
今後の展望:AI活用の拡大
ニチレイフーズは2018年以降、国内外の工場でAIシステムの導入を拡大してきました。これまでにも、鶏肉加工での選別や炒飯の調理プロセスのAI化など、多様な自動化技術を開発してきました。今後もAIの積極的な活用を進め、業務の効率化や生産性の向上を図る予定です。特に、製氷事業におけるこの成功をきっかけに、さらなるサプライチェーンの最適化に向けた取り組みも期待されています。
このように、ニチレイ・アイスは業務効率の向上とともに、働き方改革にも取り組んでおり、今後の展開に注目が集まります。