福井県に設立された先進複合材料研究ラボがカーボンニュートラルを加速

福井県に新たな研究ラボが設立

2025年4月1日、株式会社IHI、福井県、国立研究開発法人産業技術総合研究所（産総研）の3者が共同で、「IHI-福井県-産総研空のカーボンニュートラル先進複合材料連携研究ラボ」を設立します。これは、複合材料の開発をさらに進化させることを目的とした新しい研究拠点です。自治体が参画する連携研究ラボの設立は初めてであり、今後の取り組みに注目が集まります。

航空分野での持続可能な解決策

IHIと福井県は、航空機の軽量化を促進し、環境に優しい航空技術の開発に尽力してきました。特に、福井県が開発した「開繊技術」を用いて製造される炭素繊維複合材料（CFRP）は、耐衝撃性などの性能が抜群で、早くから共同開発を行っています。現在、これらの技術はIHIの航空エンジン部品に採用され、米国プラット・アンド・ホイットニー社の航空エンジンであるPW1100G-JMやエアバス社のA320neoに搭載されています。これにより、燃費向上にも寄与しています。

産総研の革新技術とデジタルものづくり

産総研は日本国内において最大規模の公的研究機関で、社会課題の解決に向けた技術研究に力を入れています。特に、2023年5月には北陸デジタルものづくりセンターを設立し、新たなものづくり技術の開発を進めています。このセンターは、北陸地域の主要産業である金属加工業や繊維産業の高付加価値化を目指す場でもあります。

目指すは革新的なCFRP技術

新設される連携研究ラボでは、IHIと福井県が進めてきたCFRP関連技術に産総研の材料技術や製造プロセス技術が加わります。この融合により、航空エンジン部品の軽量化や耐衝撃性の向上を図り、空のカーボンニュートラルの実現を目指します。また、これにより福井県を含む北陸地域の産業振興が期待され、日本の航空機産業の進展にもつながるとされています。