日本の教員養成法でカンボジアの教育を変える
近年、教育格差が世界中で話題になる中、日本からの一つの取り組みが注目を集めています。認定NPO法人SALASUSU(サラスースー)は、日本で発展した教員育成手法をカンボジアに持ち込み、全ての子どもが安心して学べる教室を実現しようと日々挑戦しています。
教育格差の現状
カンボジアでは、約90%の子どもが小学校を卒業しているものの、世界銀行の報告によると、10歳の子どもたちのうち年齢相応の読解力を持つのはわずか1割です。このように「通えているのに、学べていない」という状況は、深刻な社会問題となっています。つまり、教育の質が伴わなければ、子どもたちの未来が大きく制限されてしまいます。
SALASUSUの取り組み
SALASUSUは、カンボジアのシェムリアップ州に「SALASUSU実験校」を設立し、現地の教師たちと連携して教員育成に努めています。この学校では、学生の理解度や成長段階に合わせた協同学習を取り入れ、子どもたちが主体的に学ぶ環境を整えています。教師は、子どもたちの様子を観察しつつ、適切な質問やアドバイスを行いながら授業を構築します。また、授業研究を通じて教師同士が互いに授業の質を向上させる努力をしています。
学びの広がり
SALASUSUは実験校の成功を他の公立校にも広げようとしています。教育専門家の協力を受けながら、授業研究を導入し、教師の成長を支える環境作りに取り組んでいます。東京大学の荻巣崇世准教授などの教育の専門家が現地の教師たちとの対話を重ね、新たな教育文化を共有し、国境を越えた学びを実現しようとしています。
クラウドファンディングの実施
この挑戦をさらに進めるため、SALASUSUはクラウドファンディングを5月12日から開始しました。目標金額は1,200万円で、集まった資金は以下の活動に活用されます。
- - 実験校の運営に関わる人件費や教材、設備費
- - カンボジア国内での授業研究や研修プロジェクト
- - 日本とカンボジア間での学び合いの実施
- - 教育専門家への謝金
- - 広報活動や報告資料制作に関する経費
2030年までに、SALASUSUはパートナー校を8校に増やし、カンボジア全国の約15%にあたる教育機関へその取り組みを普及させることを目指しています。
未来への挑戦
子どもたちが「学びから取り残されない」ための取り組みは、教育の未来を左右する重要なテーマの一つです。SALASUSUのようなプロジェクトが持続可能な教育システムを構築することで、これからの世代がより良い教育環境で成長できることを願っています。私たちもこの試みに参加し、支援することで未来の教育を共に築いていきましょう。