環境に優しいデザインが金沢の街を彩る
金沢市が誇る伝統と現代の技術の融合を象徴する新たなベンチが、金沢都市美文化賞を受賞しました。その名も「友禅流しのベンチ」。このユニークなベンチは、金沢工業大学のKIT×KAJIMA 3D Printing Labが、鹿島建設株式会社との産学共同で研究開発したものです。
受賞の背景
このベンチは、金沢市外濠公園二号地に設置されており、2024年3月から一般に利用可能になります。金沢市が進める「ゼロカーボンシティかなざわ」の理念に基づき、環境性能と美しさを兼ね備えたデザインが評価され、金沢都市美文化賞への選出に至りました。
環境への配慮
「友禅流しのベンチ」の製作について詳しく見てみましょう。このベンチは3Dプリンティング技術とCO2で固まるコンクリートを用いて繊細にデザインされており、金沢の伝統工芸である友禅染を意識したデザインが施されています。これは、金沢の豊かな文化に敬意を表しつつ、環境負荷を軽減する技術を駆使したプロジェクトの一環です。
また、CO2で固まるコンクリート「CO2-SUICOM®」を使用することで、コンクリート製造の過程で発生するCO2排出をゼロ以下に抑えることができます。このように、友禅流しのベンチには、金沢の未来を見据えたサステナビリティへの強いメッセージが込められているのです。
産学連携の成果
金沢工業大学と鹿島建設は、2022年4月に学科横断型のKIT×KAJIMA 3D Printing Labを設立し、最新の技術開発に取り組んでいます。このラボでは、機械工学やロボティクス、環境土木工学などの異なる分野から集まった学生が協力し、各自の専門知識を活かしてプロジェクトに参加しています。
友禅流しのベンチのデザインと製作にも、多くの学生が関与しており、彼らの意欲的な取り組みが、今回の受賞に大きく寄与しています。実際、現場では学生たちが協力しながら試作や製作を行い、その結果として美しいデザインが形になりました。
表彰式の詳細
表彰式は、2024年2月19日(水)15時に金沢美術工芸大学アリーナで開催されます。この場では受賞作品とその背後にある努力が称えられる他、地域の学生たちの成果も広く紹介される予定です。
おわりに
金沢のまちなみと融合する形で新たな価値を生み出す「友禅流しのベンチ」。その存在は、今後の金沢市の都市景観の向上に寄与するだけでなく、環境への配慮や地域文化の再評価を促す重要な一歩となるでしょう。これからも地元の人々や観光客を魅了する存在として、長く親しまれることが期待されます。