コダシップがCHERIを統合した新しい探索プラットフォームを発表
2025年4月29日、ドイツ・ミュンヘンのイベントにて、ヨーロッパのRISC-Vリーダーであるコダシップが、完全にCHERI(Capability Hardware Enhanced RISC Instructions)を統合した最新の探索プラットフォームを発表しました。この新プラットフォームは、Codasip X730アプリケーションコアを基盤に構築されており、ソフトウェアの安全性とセキュリティを重視した開発環境を提供します。
Codasip Primeの特長
Codasip Primeは、市販の知的財産(IP)を基にしたもので、ハードウェアおよびソフトウェアエンジニアが、CHERIテクノロジの機能を評価、実証することを可能にします。また、CHERIソフトウェアを開発・実行し、広範なテストシステムにCHERIハードウェアを統合する能力を持っています。具体的には、次のような要素で構成されています。
- - 出荷可能な64ビットRISC-V CHERI Application CPU
- - ペリフェラルやシステムIP
- - セキュアブートとセキュアデバッグ用のセキュリティIP(真性乱数発生器やテストアクセスポート保護ユニットなど)
- - CHERI専用IP(DDRメモリのCapabilityタグ管理など)
- - Linuxデモイメージ
- - デバッグプローブ
- - CHERIソフトウェア開発キット
- - コンパイラおよびデバッガを含むCHERI C/C++ツールチェーン
このプラットフォームにより、ハードウェアが製造される前に、アプリケーション開発や評価を行うことができ、エンジニアリングサポートも充実しています。
業界への影響
最高製品責任者のJamie Broome氏は、「私たちの新プラットフォームは、CHERIの採用を検討している企業にとって、ゲームチェンジャーになるでしょう」と述べました。特にコンシューマー、自動車、防御関連産業においては、セキュリティの重要性が増している現状から、Codasip Primeは革新的なソリューションを提供するものと期待されています。
最近のEUサイバーレジリエンス法などの法整備により、企業が直面するサイバーセキュリティへの要求はますます厳格になっています。調査によると、サイバー攻撃の約87%がメモリ安全性の脆弱性を利用しているとされています。これにより、大きな経済的損失が発生しています。たとえば、有名なHeartbleedバグにより、5億ドル以上の損失が報告されています。
CHERIは、メモリの安全性の問題を効果的に防止するための最もコスト効率の高い手段であり、下位互換性を持っています。そのため、より安全なコードへの移行が容易であり、C/C++のメモリ安全性を実現することが可能です。これにより、コストのかかるソフトウェアのリファクタリングを回避することができます。
CHERI Allianceと協力
コダシップは、CHERIセキュリティテクノロジのグローバルな普及を目指すコミュニティ利益団体であるCHERI Allianceに参加し、RISC-VのCHERI拡張機能の標準化を推進しています。このアライアンスには、英ケンブリッジ大学やGoogle、英国国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)、国防科学技術研究所(Dstl)などが名を連ねています。
Codasip X730は、この新しいCHERI-RISC-V拡張の初商用実装となり、すでに市場に投入されています。
会社概要
コダシップは、システム・オン・チップ開発者向けのプロセッサ技術企業であり、オープンなRISC-V ISAの潜在能力を活用することが可能なカスタムコンピューティング製品を提供しています。Codasip Studioとカスタマイズ可能なプロセッサIPシリーズを組み合わせたこの企業は、完全なオープンアーキテクチャに基づいています。コダシップは、ヨーロッパに本拠を置き、世界中にサービスを展開しており、これまでに数十億台のデバイスがコダシップのテクノロジーによって実現されています。詳細は、
コダシップ公式サイトをご覧ください。