岡山大学による画期的な取り組み
近年、LGBTユース(子ども・若者)に対する心理的サポートの必要性が高まっています。特に、91.6%が自身の状況を保護者にカミングアウトできないという現実が報告され、多くの若者が孤独や精神的な苦痛に悩んでいます。これに応える形で、岡山大学はメタバースを利用した支援プロジェクトを開始し、その成果が注目を集めています。
メタバース支援の背景
岡山大学(学長:那須保友)は、医療情報化診療支援技術開発講座の長谷井嬢教授を中心に、メタバースを通じたLGBTユース支援の可能性を検証してきました。この取り組みでは、一般社団法人「にじーず」と協力し、2024年1月からメタバース空間での自助グループを設立しました。これにより、参加者はアバターを通じて自己を自由に表現できる環境が整えられました。
メタバースの利点
活動の結果、自己表現や対人関係に対する自信が向上することが明らかになりました。特に、現実世界での対人関係に自信が乏しい若者ほどメタバースにおいてより良い自己肯定感を持ちやすいことが確認されました。心理的安心感と高い満足度を感じる参加者も多く、「メタバースは自分の性的指向を隠さずにいられる場所」との声が寄せられています。これにより、メタバースが新たな心の支えとなる可能性が示されました。
今後の展望
長谷井教授は「孤独感を抱えるLGBTユースにとって、メタバースは単なる支援の場以上の存在になるでしょう」と語ります。また、支援アクセスが困難な地域に住む若者や、自身の性的指向を周囲に明かしづらい方々にとっても、新たな希望の場になることを期待しています。
今回の研究成果は、国際的な学術誌『Journal of Metaverse』に掲載され、さらなる注目を集めており、LGBTユースの心理的支援における新たなアプローチとして広く認知されることが期待されます。国内外の他の研究機関や団体との連携も進んでおり、新たな支援の輪が広がることが期待されています。
背景と意義
本研究は公益財団法人橋本財団や、こども家庭庁などからの支援を受けて実施されました。メタバースを使ったアプローチは、孤立した若者が交流できる新しい場を提供するだけでなく、心理的サポートの重要性を再認識させるものでもあります。
これからの社会で必要不可欠な「理解」を促進し、LGBTユースに対する偏見をなくすための一助となることを願っています。岡山大学の取り組みは、地域格差を超える一歩となり、多くの若者たちに希望を与えることでしょう。