NEDOと協力機関が進める量子技術プログラム
最近、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、量子コンピュータの開発を支援するための新しいプログラムを立ち上げ、無償で開発環境の提供を行うことを発表しました。このプログラム名は「NEDO Challenge, Quantum Computing “Solve Social Issues!”」で、参加者たちが社会的な問題の解決に向けた実用的なユースケースを開発することを目的としています。
プログラムの概要と目指すもの
このプログラムは、単に量子技術の研究開発を促進するだけでなく、異なる専門分野の知識を持つ次世代の人材や技術者に対し、参加を呼びかけています。これにより、量子コンピューティング技術の進化を加速させ、社会課題解決に役立つ実用的な成果を生み出すことを期待しています。
成果物の提出は2026年6月末まで受け付けており、参加者は自身の計算環境を用意することが難しい場合でも、高度な実験や研究を行うことができる環境を提供します。特に、NEDOは通過した参加者に対し、必要な機材を無償で提供し、研究の進展を支援しています。プログラムの公式サイトには、スクリーニング審査を通過した参加者リストが随時公開されます。
提供される開発環境の内容
参加者には下記のような開発環境が整備され、無償で提供されます:
- - 量子コンピュータ(ゲート方式の実機)
- - 疑似量子アニーリングマシン(組合せ最適化問題に特化)
- - 量子シミュレータ(実機の挙動を再現)
これらの環境は、参加者の研究ニーズに対応できる形で設計されており、実機とシミュレータを併用することで、より効率的な検証やデバッグが可能となります。また、様々な量子計算方式に対応しているため、普段の研究では扱わない手法にも挑戦するチャンスが広がります。
共同で参加する機関の役割
さらに、本プログラムを支援するために、複数の著名な機関が協力しています。例えば、産業技術総合研究所や理化学研究所は、それぞれ異なる計算リソースを提供し、リソースを活用した新しいユースケースの創出を目指しています。
- - 産業技術総合研究所:GPUスーパーコンピュータや超伝導型量子コンピュータの計算リソースを提供。
- - 理化学研究所:量子HPC連携プラットフォームを通じて、スーパーコンピュータ「富岳」と協力し、商用量子計算機を利用可能とします。
- - IBM:その高性能量子コンピュータを活用し、多様な問題解決に向けた実験を支援。
他にも、各社がそれぞれの強みを活かしながら、量子技術の研究開発を後押ししています。
スケジュールと今後の展望
このプログラムでは、参加者が開発した研究テーマに基づき、2026年6月を予定として成果物の提出が行われます。この無償で整備された開発環境を活用し、参加者の量子技術に関する研究を加速させることが狙いです。また、プログラムを通じて日本国内の量子技術者の育成も図り、量子技術を活用した新たな産業の創出へと繋げていくことを目指しています。
本プログラムが実ソリューションの開発へどのように貢献するのか、今後の展開が非常に楽しみです。さらなる詳細は、公式ウェブサイトにて随時発表されるとのことです。