新国立劇場演劇研修所第19期生修了公演『社会の柱』の魅力に迫る

新国立劇場演劇研修所第19期生修了公演情報

新国立劇場演劇研修所は、2026年2月10日から15日までの間、第19期生の修了公演として『社会の柱』を上演します。本作は、近代劇の巨匠ヘンリック・イプセンによる戯曲で、劇の中心となるのはノルウェーの小さな港町です。主人公カルステン・ベルニックは、実業家であり領事として尊敬を集めている人物ですが、彼の過去が物語に波乱を呼び込むこととなります。

物語は、町の鉄道敷設計画に関連して展開し、ベルニックの家族や過去の過ちが、彼の現実を脅かします。このような複雑な人間関係と時代背景は、観客に深い思索を促し、現代社会にも共鳴する根本的なテーマを掘り下げます。

現代にも息づくテーマ

『社会の柱』は、資本主義の理想やリーダーの倫理観、自由、尊厳といったテーマについて考えさせられる作品です。イプセンが描いたこの作品は、当時の社会状況を反映しているだけでなく、今の時代にも通じる深いメッセージが込められています。

2020年に第13期生によって新訳で上演された際も、非常に好評を得ました。演技の指導と演出を手掛ける宮田慶子氏は、演劇研修所長としてこの作品の深化に貢献してきました。

演技研修と公演準備

第19期生は、入所後の3年間で様々なレパートリーにわたり研修を重ねてきました。加えて、2023年に上演された朗読劇『少年口伝隊1945』や、熱量溢れる『トミイのスカートからミシンがとびだした話』など、注目を集める作品に取り組む中で、実践的な経験を蓄積してきました。

これらの経験を経て迎えた修了公演『社会の柱』は、彼らの集大成とも言える仕上がりとなっています。若手俳優たちが、役を通じて観客にどのようなメッセージを伝えるのか、期待が高まります。

スタッフの顔ぶれ

本公演の制作には、ヘンリック・イプセンの戯曲が基に用いられ、翻訳はアンネ・ランデ・ペータス氏が担当します。演出は、宮田慶子氏が手掛け、舞台美術、照明、音響などにも高い専門性が求められます。これにより、作品の深さや視覚的な魅力を引き立てます。

具体的には、舞台美術を池田ともゆき氏が、照明を中川隆一氏、音響を信澤祐介氏が担当しています。

チケット情報

公演は新国立劇場小劇場にて行われます。チケットはA席とB席、U25席があり、2025年12月2日から一般発売が開始されます。年齢制限付きのU25席は、観劇の当日に25歳以下の方を対象としており、年齢確認のための証明書提示が必要です。

公演日程は2026年2月10日から15日まで、計6回の公演が予定されています。観劇の際には、開演の30分前から会場に入ることができます。また、託児室の利用も可能です。

新国立劇場の役割

新国立劇場は、日本の現代舞台芸術を代表する劇場であり、オペラ、バレエ、演劇のためのトレーニングを提供し、次代を担うアーティストの育成に力を入れています。これまでに数多くの著名な作品が上演され、文化的な貢献を果たしてきました。

『社会の柱』の上演は、同劇場の重要な取り組みの一環であり、これからの演劇界を担う若い才能たちを育てる貴重な機会です。観客としても、その成長を見守ることができるこの公演には、多くの期待が寄せられています。ぜひ、ご自身の目でご覧いただきたいと思います。