名古屋市を舞台にした新しい道路点検技術の実証
名古屋市は、先進技術を活用した社会実証支援事業「Hatch Technology NAGOYA」を通じて、企業の提案を募り、選ばれたプロジェクトには費用の一部を負担し、実証に必要な調整などの支援を行っています。この取り組みの中で、株式会社スマートシティ技術研究所が採択され、実証実験を開始することが発表されました。
スマートフォンを用いた効率的な道路点検
2024年8月から2025年2月までの期間、スマートシティ技術研究所は、スマートフォンを利用した道路点検クラウドシステム「GLOCAL-EYEZ」を運用します。このシステムを使うことで、道路の区画線や標示の劣化状況を効率的に把握し、結果として計画的かつ効果的な修繕が可能となります。
名古屋市の緑政土木局道路維持課では、車載カメラを使用した画像処理により、路面の状況を見極めるニーズがあります。この要望に応える形で、GLOCAL-EYEZが選ばれるに至りました。
GLOCAL-EYEZの詳細
GLOCAL-EYEZは、一般車両に取り付けたスマートフォンで道路を撮影し、AIを用いてさまざまな道路状況を分析します。これにより、亀裂やポットホール、段差などの損傷、さらには区画線の状態を迅速に診断できます。これは東京大学の長山教授が開発したAI技術を基にしており、従来の手法では見逃された情報を補完できます。
このクラウドシステムの導入により、劣化状況の把握が飛躍的に向上し、従来の肉眼による点検では気付けなかった問題点を明らかにします。加えて、道路の舗装劣化や附属施設の状態確認もAIによって効率化され、全体の点検パトロールの精度が向上します。
実証を通じた未来の展望
名古屋市緑政土木局の道路維持課課長補佐、北川貴史氏は「このプロジェクトを通じて、交通事故のない未来に向けた重要な一歩を踏み出し、道路の安全性を高めることを期待しています」とコメントしています。
また、スマートシティ技術研究所の代表、趙博宇氏も「単にAI技術を適用するだけでなく、現場の課題に根本解決策を提供していくことが重要です。今回のプロジェクトを通じて緑政土木局と密に協力し、より良い道路環境を提供することを目指しています」と強調しました。
スマートシティ技術研究所について
株式会社スマートシティ技術研究所は、2019年に設立された東京大学発のベンチャー企業で、インフラの維持管理に関する先端研究を社会に還元することをミッションに掲げています。新しい技術による社会の発展を目指して、今後もさまざまな取り組みを進めていく予定です。
この実証実験が成功すれば、名古屋市の交通インフラは大きく変革することが期待されており、交通安全の向上に寄与することでしょう。