いのち会議が目指す未来
2025年10月11日、大阪・関西万博会場で開催される「いのち会議」において発表される「いのち宣言」と「アクションプラン集」は、私たちが「いのち」をどう感じ、理解するかという重要なテーマを考えるきっかけとなります。特に、今回の取り組みには「庭」という自然と人を結ぶ空間を通じて「いのち」を感じる試みが含まれています。
「いのち」を考える必要性
「いのち」に対して深く考えることは、普段の生活ではあまり意識されていません。しかし、私たちは身内の死や病気を経験することで、「いのち」が有限であることを実感する瞬間に直面します。この経験は、どう生きるべきかの問いを持たせます。
「いのち」を理解するためには、自分だけのものではなく、他の生命との関係性の中で初めてその価値を認識しなければなりません。草木や動物、微生物といった他の生命との共生を通じて、私たちは自然循環の中に生きています。この「いのちの連鎖」と他者とのつながりを再確認することは、私たちが歩むべき道の一つです。
Commons Gardenの理念
株式会社梅鉢園の梅野星歩代表が推進する「Commons Garden」は、そうした意識の変化を促す活動です。庭を囲うことで、日常と非日常をつなぎ、人と自然、人と技術、人と人の関係を「身体・感情・記憶」で体感できる場を提供します。
この活動では、京都の庭師が持つ伝統技術とAI、デジタルを融合させて「過去・現在・未来」が重なる空間を創出しています。庭がなぜ必要とされるのか、この問いに応える一つの要素が存在します。庭は、宗教儀式や祈り、鎮魂などの場として、さまざまな文化と共鳴しあってきた歴史を持っています。
非日常からの気づき
Commons Gardenでは、明確な答えを求めず、風を感じ、他者と沈黙を共有しながら、自分自身の問いに向き合う体験が得られます。この活動は、宗教や哲学、科学の枠を超えた自らの「自灯明」に気づく場を提供します。単なるアート活動ではなく、社会制度を変える前に「感じる力」、「考える場」、「共感する関係性」を育てる実践なのです。
未来への展望
Commons Gardenは、2023年のG7広島サミットを皮切りに、世界遺産の醍醐寺や仁和寺などで活動を展開しています。今後は、この取り組みを全国、そして世界へと広げ、都市と地域文化との連携を深めることが求められています。教育、医療、福祉などの多様なセクターと連携しながら、いのちを共感し合えるエコシステムを目指します。
分断と暴力の時代を乗り越えるために、私たちが今すべきことは「いのち」を共に感じ、考え続けることです。
お問い合わせ
いのち会議に関する問い合わせは、いのち会議事務局、大阪大学 社会ソリューションイニシアティブの特任助教、宮﨑貴芳までご連絡ください。TEL:06-6105-6183、E-mail:
[email protected]
私たちの未来を共に築くために、気軽にご連絡ください。