遺伝性血管性浮腫に新たな光: セベトラルスタット
カルビスタファーマシューティカルズは、最新の治療薬であるセベトラルスタットが、厚生労働省から希少疾病用医薬品に指定されたと発表しました。この新薬は、遺伝性血管性浮腫(HAE)に苦しむ成人および12歳以上の小児に向けた急性発作の治療薬として開発中であり、日本で初の経口投与可能なHAE急性発作治療薬になることが期待されています。
セベトラルスタットの特徴
セベトラルスタットは、新たな作用機序を持つ血漿カリクレイン阻害薬です。この薬の最大の特長は、従来の治療法が静脈内または皮下投与を要するのに対し、経口投与が可能である点です。これは、HAE患者にとって画期的な進展を意味します。
カルビスタのCEOであるベンジャミン・L・パレイコ氏は、「セベトラルスタットの承認申請は、HAE患者に新しい治療の選択肢を提供する大きな一歩であり、私たちの目的である患者の治療環境を改善するものです」と述べています。
実績ある試験データ
セベトラルスタットの承認申請は、第3相KONFIDENT試験の結果に基づいて行われました。この試験は、20カ国66の医療施設で実施され、136名のHAE患者が参加しました。この試験では、セベトラルスタットの有効性と安全性がプラセボと比較され、330mgおよび600mgの用量で評価されました。また、試験参加者は過去90日間にHAEの発作を2回以上経験した患者が含まれます。
さらに、進行中のKONFIDENT-S試験では、セベトラルスタットの長期的な安全性と有効性が調査されています。
患者にとっての意義
HAEは、C1-エステラーゼインヒビター(C1INH)タンパク質の欠乏状態によって引き起こされる遺伝的な疾患であり、急な浮腫の発作が生活の質を著しく低下させます。現行の治療はすべて静脈、または皮下投与を必要とするため、経口治療薬の登場は多くの患者にとって福音です。
承認が得られれば、セベトラルスタットはHAEの新しい治療法として、患者の生活を大きく改善する可能性があります。
今後の展開
カルビスタファーマシューティカルズは、米国で2026年中にセベトラルスタットの新規口腔内崩壊錠剤(ODT)の適応追加申請を行う予定です。この進展により、HAE患者に新たな選択肢が提供されることが期待されています。
全体として、セベトラルスタットはHAE患者にとって重要な治療選択肢となるだけでなく、カルビスタファーマシューティカルズが追求する「アンメット・メディカル・ニーズ」の解決に向けた重要な一歩であると言えるでしょう。