尼崎市が石綿による健康被害対策を求める
2023年12月24日、兵庫県の尼崎市では、石綿による健康被害を受けた市民を支援するため、国に対して重要な要望を提出しました。これは、2005年に起きた「クボタショック」以降も、石綿による健康問題が解消されていない現状を受けたもので、当市の松本眞市長が環境大臣に対して要請を行いました。
要望の背景
尼崎市では、依然として毎年30人前後の中皮腫による死亡者が出ており、アスベストの健康被害が過去の問題ではないと示されています。そのため、石綿による健康被害を受けた方々の不安を解消し、より多くの方が安心して生活できる環境を整えることが求められています。市としては、過去に提案した「恒久的な健康管理制度の構築」と「健康被害救済制度の充実」に加え、今年度は新たに2つの要望を追加しました。
新たな要望内容
1. 石綿読影の精度に係る調査計画書の見直し
最初の要望は、石綿読影の精度に関する調査計画書の見直しです。従来の調査では、胸部X線検査での異常があった場合に、医師の指示で胸部CT検査を受けられる機会があったのですが、国からの新たな示唆では、CT検査の受診歴がある場合に限ってしかその機会が与えられなくなっています。この変更により、石綿関連疾患の早期発見が難しくなり、健康リスクが高まる可能性があります。
尼崎市では、これまでどおりに胸部X線検査の結果をもとにCT検査を受けられるよう再検査を要望することで、早期の治療や市民の不安解消につなげていく考えです。
2. アスベスト問題を風化させない取り組み
二つ目の要望は、アスベスト問題を後世に伝えるための取り組みについてです。年々続く中皮腫の死亡者数は、この問題が現在進行形であり、過去の出来事ではないことを改めて示しています。そこで、健康被害の実態やアスベスト問題を次世代にしっかりと伝えていく重要性を説き、国の支援を強く求めました。
まとめ
松本市長は、石綿による健康被害の状況を踏まえ、市民の健康と安全を守るために必要な制度の構築を進めていく決意を示しました。国における対応が求められる中、尼崎市は地域の健康問題を率先して解決する一環を担っています。これからも市民の安全と安心を第一に考えた取り組みを続けていくことでしょう。