月面に文化の記憶を運ぶ ispaceの新たな挑戦
株式会社ispace(本社: 東京都中央区、代表取締役: 袴田武史)が、ユネスコの文化・言語遺産を月に輸送するための画期的な契約を締結したというニュースが報じられました。この契約は、ispaceの欧州法人であるispace EUROPE S.A.と、米国の革新企業Barrelhand Inc.との協力によって実現しました。
ユネスコの文化遺産を月に!
新たに開発された「Memory Disc V3」は、直径19mm、厚さ1.2mm、重さ1.7gというコンパクトな記憶媒体です。このディスクには、ナノフィッシュ技術を使用して、約4GB分の情報が超微細に刻まれています。これは、現代の象形文字に相当するものであり、宇宙飛行士の心理的支えを目的に設計されるとともに、人類の記憶と文化を未来に残すための重要なプラットフォームへと進化したのです。
この「Memory Disc V3」は、耐久性に優れたニッケルを素材に使用しており、過酷な宇宙環境でも数百万年単位の長期保存が可能です。特に注目すべきは、最大13万DPIという超高解像度で情報が刻まれていることで、実際の読み取りには光学的拡大のみが必要である点です。これは、現代のロゼッタストーンとも言える技術です。
世界的な意義
このプロジェクトは、ユネスコの「国際先住民族言語の10年」に関連しており、特定のテーマに対する認識を高める国際的な協力が必要とされています。2016年の国連総会決議では、推定6700の言語のうち40%が消滅の危険にあると警告されています。先住民族の言語もその一部であり、文化や知識の喪失というリスクが伴います。
このような背景から、ispaceのCEOであるJulien-Alexandre Lamamy氏は、「私たちは技術だけでなく文化遺産も宇宙に持って行く必要がある」と述べ、地球の遺産が新たなフロンティアへと継承される重要性を強調しています。これは、月面探査だけでなく、未来の地球外での人類の生活にも直結する壮大なビジョンです。
未来への展望
2025年には、ispaceは日本法人が主導するミッション2の打ち上げを計画しており、その後、再度月面着陸を目指すチャンスが提供されます。また、2027年には米国法人によるミッション3が予定されており、さらなる宇宙開発の促進が期待されています。これにより、世界中からの需要に価するペイロードサービス契約やデータサービスを提供し続けることを目指しています。
さらなる情報
Barrelhand Inc.はカリフォルニア州に本社を置く企業で、宇宙経済へのアクセスを拡大することをミッションとしています。同社は、技術や文化機関との協業を通じて、宇宙探査と人類の遺産が交差する領域の研究を行っています。
ispaceは次世代の宇宙開発を支えるために、日米欧の異なる法人が協力して文化の継承と宇宙探査の発展の両立を目指しています。成功へと導くための新たな挑戦が始まっています。