口どけ感の科学的理解に挑んだ研究
2026年の日本食品科学工学会で、咀嚼シミュレーター「MOG®」を用いた共同研究が「論文賞」を受賞しました。この研究は、株式会社J-オイルミルズと大阪大学大学院工学研究科の東森充教授が率いるチームによって実施され、様々な角度からクッキーの口どけ感を測定しました。この受賞は、食品の科学的評価の新たな地平を開くものとして注目されています。
咀嚼シミュレーター「MOG®」の特徴
「MOG®」は液体添加機能を備えた咀嚼シミュレーターで、クッキーのように咀嚼時に唾液を必要とする食品の変化を敏感に捉えることができます。これまでの装置では難しかった咀嚼中期から後期における「口どけ感」の可視化が、咬合力や画像データとの組み合わせによって可能となりました。この結果、クッキーが時間とともにどのように変化するかを科学的に評価できる新たな基準が示されたのです。
受賞に至るまでの経緯
日本食品科学工学会によって選ばれる同会の「論文賞」は、毎年厳正な審査を経て優れた研究に与えられる名誉です。今年度は40件もの論文が掲載され、その中から株式会社J-オイルミルズを含む2件が受賞しました。本研究は、企業の研究開発だけでなく、食品業界全体に有益な影響を与えることが期待されています。
背景: 食品の「おいしさデザイン®」
J-オイルミルズは「おいしさデザイン®」という理念のもと、風味や食感の改善を目指しています。食品の「おいしさ」の要素には、味や香りだけでなく、歯ごたえや弾力、舌触りなどの食感が大きく関与するため、それを科学的に評価することは非常に重要です。
従来の力学試験では、わずか数噛み目までの硬さや弾力しか測定できず、咀嚼が進む過程での食感変化を把握することが難しいという課題がありました。そこで、研究チームは2018年から本プロジェクトに取り組み、各工程を再現し評価するためのシミュレーターの開発を始めました。
研究の成果を広く展開
研究の成果は、J-オイルミルズの製品販売の拡大や新たな油脂製品の開発に直結します。また、食品評価の質向上にも貢献し、さまざまな業界との協力を通して実現を目指します。「食べる」と「つくる」の課題に取り組むことにより、より良い食文化の実現に寄与することも企業の目標です。
研究内容や成果の映像も公開されており、実際の咀嚼シミュレーターがどのように機能しているかを見ることもできます。これにより、一般の方々も科学仕組みを理解する手助けとなるでしょう。
日本食品科学工学会について
日本食品科学工学会は、食品科学と工学の交流を促進し、国民の食生活向上を目指す学術団体です。1953年に設立され、現在約2000人の会員がいる重要な研究機関です。この団体の開催するイベントや発表は、食品業界の進歩に寄与し続けています。
結論
J-オイルミルズと大阪大学の共同研究による咀嚼シミュレーター「MOG®」は、科学に基づく新たな食品評価の基準を打ち出しました。この研究は、今後食品業界に革新をもたらす重要な一歩となるでしょう。