大鵬薬品、アラリス社を子会社化
2025-03-17 17:02:22
大鵬薬品がアラリス社を子会社化、次世代ADC技術の強化へ
大鵬薬品、アラリス社を完全子会社化へ
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区)は、スイスのバイオテクノロジー企業アラリス社(Araris Biotech AG)の完全子会社化に関する合意を発表しました。この取り組みは、次世代の抗体薬物複合体(ADC)を開発する同社の技術力を取り込み、がん治療の新たな道を切り開くための重要なステップです。
合意内容と背景
大鵬薬品は、アラリス社を完全子会社化するにあたり、契約に基づいて初期の支払いとして4億米ドルを支払うことが決まっています。加えて、特定のマイルストンに応じて最大7.4億米ドルの追加支払いも行います。この買収は、2025年前半に完了する予定です。両社は2023年11月に共同研究を開始しており、その結果が今回の合意に至ったとされています。
アラリス社は、スイスのパウル・シェラー研究所からスピンオフした企業で、ADC技術の中でも優れた設計を持つものとして注目を集めています。ADCは、がん細胞に特異的に結合する抗体と細胞障害性薬物を結びつけ、がん部位をターゲットにして殺細胞作用を実現する手法です。アラリス社の技術は、特に独自のリンカープラットフォームであるAraLinQ™を利用しており、高い安定性と効果を持つADC候補を生み出しています。
AraLinQ™技術の特長
AraLinQ™は、ペイロードの強力な結合を通じて、がん細胞に特異的に薬剤を届けるための重要な技術です。この技術により、毒性を減少させながら、異なる作用機序を持つ複数の薬物を同時に届ける能力が大幅に向上します。これは、ADCがより安全で効果的ながん治療を可能にすることを意味します。
さらに、アラリス社は、現在前臨床段階にある3つのADC製品の開発を進めており、2025年から2026年には臨床試験を開始する予定です。これにより、がん治療の選択肢が増えることが期待されています。
大鵬薬品の成長戦略
大鵬薬品は、これまでに代謝拮抗剤やシステイノミクスによる低分子創薬を手掛けており、自社の製品ポートフォリオを強化してきました。今回のアラリス社との合併により、新たなADC技術を享受しながら、がん領域における開発品の拡充が図られることになります。創業以来、がん治療に特化した研究を行ってきた大鵬薬品は、アラリス社のADC技術によってさらなる飛躍が期待されています。
今後への期待
大鵬薬品の代表取締役社長、小林将之氏は、アラリス社との契約を締結できたことを嬉しく思っており、「AraLinQ™は次世代ADC創薬を可能にする革新的な技術であり、アラリス社と共に世界中の患者に貢献できる薬剤の創薬に努める」と述べております。
アラリス社のCEOであるDragan Grabulovski氏も、「この提携により、我々は治療法を迅速に市場に届けることができる」と期待を寄せており、両社の協力による新たな可能性が広がることが期待されています。
まとめ
アラリス社の技術を取り込むことで、大鵬薬品は持続可能ながん治療の未来に向けた新たな一歩を踏み出しました。今後の技術開発と治療薬の創出を通じて、多くの患者の命を救うことに貢献していくことが期待されます。
会社情報
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大鵬薬品
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