野生生物を守るためのクリエイティブなアプローチと課題
日本において、野生生物はその多様な姿や意外性のある行動で大きな魅力を持っています。映画やアニメ、ゲームなどのクリエイティブな作品は、この野生生物の素晴らしさを描くことで、人々に感動を与え続けています。しかし同時に、日本は野生生物を消費する国でもあり、ペットとしてや食用としての利用が過剰に行われています。これに伴い、野生生物の多くが絶滅危惧種に指定される事態が進行中です。
国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が28日に発表したレッドリストでは、さらに多くの種が危機的な状況にあることが明らかになりました。特にメディアにおける野生生物の描写が、安易にペットとして扱われる事例や美化されるケースが多く見受けられます。こうした表現は、視聴者や消費者に誤解を与えるだけではなく、違法な野生生物取引を促す要因にもなっています。
例えば、テレビ番組ではタレントが希少な野生生物を捕獲するシーンが放送され、生物の価値を金銭的な観点からのみ語ることがあります。このような表現は視聴者に野生生物を「所有」することができるという錯覚を植え付け、その結果として違法取引を助長し、さらなる絶滅を招く恐れがあります。
また、主人公が怪我をした野生動物を保護する物語で友情が描かれることもありますが、これも現実の野生生物保護の重要性を薄れさせる危険性があるのです。SNSでも、動物園の飼育員が子どもトラと接する様子を公開し、この行為自体が動物への配慮に欠けている可能性があります。希少な動物をペットとして飼う様子を配信し、需要を拡大することも懸念されるほどです。
野生生物の過剰利用は、生物多様性の減少において主要な要因となっています。「昆明・モントリオール生物多様性枠組(KMGBF)」で定められているように、持続的でない野生生物の利用を見直すことが求められています。これに対し、クリエイティブの力が重要な役割を果たすと考えられています。
私たちは、野生生物の描写においてより責任を持ち、教育的な観点からも責任あるアプローチを考慮しなければなりません。クリエイティブな表現を通じて、野生生物の美しさや彼らが抱える危機について伝えることができれば、様々な意識を変え、行動を喚起する力になると信じています。
クリエイターが抱える課題
一方で、クリエイターたちも多くの課題を抱えています。特に、野生生物に関連する専門知識の不足や表現がその生態に影響を与える恐れについての不安があります。これらの問題を解決するためには、制作に関わる全員の意識を共有し、炎上リスクの回避や情報の正確性を確保することが求められています。
「Wildlife Media Initiative」は、クリエイターたちが抱える課題に対してサポートを行っています。専門家の知見に基づくガイドラインやリスク評価の提供は、野生生物に対する理解を深め、その存在を護るための情報を提供することに繋がります。また、クリエイター向けにワークショップやセミナーを通じて保全活動の重要性も伝え、問題意識の共有を図る活動にも力を入れています。
具体的な取り組み
1.
ガイドラインの提供:専門家の知識をもとにした指針を示し、野生生物の生態や保護についての理解を促進。
2.
リスク評価:制作過程でのリスクを見極め、問題を未然に防ぐためのサポートを実施。
3.
教育活動:クリエイター向けの活動を通じて、野生生物保全におけるメディアの役割について情報を共有。
4.
連携と協働:関係者との定期的な意見交換を行い、より良い作品制作に貢献。
5.
優れた作品の表彰:優れた表現を社会に広め、保全活動の重要性を訴え続けます。
我々は、野生生物とその保護に寄与するクリエイティブな取り組みを通じ、持続可能な未来を共に築いていきたいと考えています。この重要な課題に、引き続き取り組みを進めて行きます。