ダイナミックマッププラットフォームが日本海測量設計を親会社に
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下、DMプラットフォーム)は、測量業務を担う日本海測量設計株式会社を子会社化することを発表しました。この動きは、日本におけるデジタルインフラ整備を推進するための新たな戦略的ステップです。DMプラットフォームは、測量・調査・土木設計を行う日本海測量設計を傘下に迎え入れることで、測量ネットワークを強化し、独自のノウハウや技術を活かして、より迅速で効率的なインフラ整備を目指します。
設立の背景
DMプラットフォームの設立は2016年にさかのぼりますが、創業当初から公道を中心とした高精度の3次元データ提供に特化してきました。しかし、最近では空港や港湾、物流センターなど多様なデータ生成エリアのニーズが高まっており、さらなる拡充が求められています。このような背景の中で、測量業務はますます重要となっています。計測手段の多様化や最新技術の導入が必要とされる中、DMプラットフォームは日本海測量設計との連携を図り、自社の測量能力を強化します。
測量業界が直面する課題
日本の測量業界は、インフラの老朽化や自然災害に対する対応が急務となっています。測量士や測量士補は、土地の正確な位置や形状を把握し、地図や設計図を作成することで、工事の基盤を支えていますが、いくつかの課題に直面しています。
業界再編の遅れ
測量業界の市場規模は、公共事業においては安定して推移していますが、登録業者の数は減少し続けています。そのほとんどが中小企業であり、後継者不足が懸念されているため、新たな企業の結集が進んでいないのが現状です。
人材の流出
資格を持つ測量士の数が減少している一方で、測量士補は安定した数を保っています。しかし大卒や専門学校卒業生の待遇面が課題となり、中小企業から大手企業へと人材が流出する傾向があります。
技術革新の停滞
最新技術の導入が難しい中小企業が多く存在するため、技術革新のスピードが遅れています。その結果、測量業務の効率化や質の向上に課題が残ったままとなっています。
今後の展望
DMプラットフォームは、今般の日本海測量設計の子会社化を皮切りに、測量業界でのロールアップ型のM&A戦略を進めていく予定です。これにより、日本のデジタルインフラ整備を支えるための測量ネットワークを確立します。中期的には、地域密着型の特長を持つ企業をグループ化し、人材、技術、機材の共有化を進めます。これによって企業全体としての競争力を高め、デジタルインフラ整備への貢献を実現します。
各社のコメント
日本海測量設計の代表取締役麻生正則氏は、「測量業界の課題解決に向けた一歩となる可能性を感じました。DMプラットフォームのビジョンに共感し、共に新たな未来を築いていきたいと思います」とコメントしています。DMプラットフォームの代表取締役社長、吉村修一氏も「地域に根差した測量会社と協力し、安定的かつ持続可能なデジタルインフラを提供することで、社会全体のレジリエンス向上に貢献していく」と述べています。
まとめ
DMプラットフォームが日本海測量設計を傘下に迎え入れることで、測量業界全体の新しい未来が切り拓かれることが期待されます。デジタルインフラ整備という大きな社会的課題に取り組む旗手として、今後の動向から目が離せません。