大正製薬、頭皮用エアゾールスプレーの気持ち良さを可視化
大正製薬株式会社が、頭皮用エアゾールスプレーとマッサージによる「気持ち良さ」を唾液のバイオマーカーを通じて可視化する新たな研究成果を発表しました。この革新的な試みは、2023年11月に開催された第25回日本感性工学会大会で発表され、多くの注目を集めています。
研究の背景と目的
頭皮用のエアゾールスプレーは、マッサージと組み合わせることで、リラックス感や心地良さを提供する商品です。しかし、その使用感を数値化し、客観的に評価する試みはこれまであまり行われてきませんでした。従来の官能評価では、個人の感覚や主観に左右されがちで、その曖昧さをどうにか克服できないかと、さまざまな研究が進められてきました。
この研究では、オキシトシンという癒やしホルモンと、コルチゾールというストレスホルモンに着目しました。オキシトシンは心地良さを感じるときに分泌が増加し、一方コルチゾールはストレスを感じた時に増加します。大正製薬は、これらのホルモンの変化を通じて、エアゾールスプレーがどのように気持ち良さに寄与するかを調査しました。
実験手法と結果
研究では、異なる3種類のエアゾールスプレーを使用し、頭皮マッサージも行った後に、唾液を採取しました。各スプレーには、液噴射タイプ、泡噴射タイプ、そして頭皮直当てヘッド付きのタイプが含まれています。また、参加者には使用感に関するアンケートも実施し、得られたデータを分析しました。
結果として、エアゾールスプレーが「気持ち良い」と感じるほど、唾液中のオキシトシンが増加することが確認されました(図1)。さらに、頭皮マッサージと比較した際、エアゾールスプレーを使用した方が、頭皮が柔らかくなると感じる度合いが高く、オキシトシンが増加し、コルチゾールが減少することも明らかになりました(図2)。これは、エアゾールスプレーがより効果的なリラックス手段であることを示しています。
今後の展望
大正製薬は、この研究結果を元に、エアゾールスプレーのさらなる開発や、新商品の提案を行っていく考えです。また、生活者の皆様にとってより豊かなリラクゼーションを提供するため、今後も科学的根拠に基づいた商品開発を進めていく姿勢を強調しています。上原社長は「私たちは、気持ち良さの数値化を進めることで、消費者の新しい選択肢を提供し、より良い暮らしをサポートしていきたい」と語っています。
この新たな技術は、今後のヘアケア及びリラクゼーション市場に大きな影響を与えることでしょう。現代人のストレス軽減に役立ち、心身の健康維持に寄与することが期待されています。