横浜におけるオスラー病患者学習交流会
2025年11月30日、横浜市の「かながわ労働プラザ」にて、特定非営利活動法人日本オスラー病患者会による初の「オスラー病患者学習交流会」が開催されます。本イベントは、オスラー病、つまり遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)の正しい理解と啓発を目的としています。
オスラー病は、日本国内で約1万人が患者として認識されていますが、診断率はわずか10%程度と依然として低い現状です。特に、鼻血は「体質」と誤解されることが多く、その結果、多くの患者が誤診や放置される危険にさらされています。これまでの調査では、未診断のまま肺や脳に動静脈奇形(AVM)が進行し、深刻な合併症に至る可能性が指摘されています。
医師による講演
この交流会には、日本HHT研究会の名誉世話人である小宮山雅樹医師が講師として参加します。小宮山医師はオスラー病に関する研究に長年携わり、日本国内で唯一オスラー病外来を設置している専門家です。彼が当日、最新の研究成果や診療指針とともに、臨床現場での実体験を交えて貴重なお話をしてくださいます。
患者の視点を大切に
さらに、患者会の理事長である村上匡寛も登壇し、患者目線でのケアや日常生活における課題について語ります。参加者同士の交流の場としても設けられており、共通の悩みを抱える人々が意見交換することで、互いの理解を深めることが期待されています。また、専門の講演もあり、医療従事者向けに臨床現場での役立つ知識や診療のヒントも共有される予定です。
医学生・看護学生への期待
オスラー病の理解を深めるためには、未来の医療を担う医学生や看護学生が正しい知識を学ぶことが不可欠です。本交流会は、研究者の医学的な知見と患者からのリアルな体験を学ぶ貴重な機会であり、希少疾患について理解を深める場となります。特に、医学生や看護学生が患者やその家族の声を直接聞くことができることは、将来の臨床実習や医療にとって大きな財産となります。
患者の体験談
参加者からは、実際の体験談を通じて、セルフチェックの重要性や医療機関での困難さが共有されています。
- - 「頻繁な鼻血を体質だと思っていたが、セルフチェックで受診し早期診断につながった。」(30代女性)
- - 「父がオスラー病だったが、まさか自分もとは思わなかった。セルフチェックのおかげで早期発見ができた。」(40代男性)
これらの体験は、正しい自己検診が医療へのアプローチにつながることを示しています。
医療従事者および行政への提案
医療従事者にとって、本交流会はオスラー病の診断率を改善する教育ツールとして機能します。特に、鼻血を体質と誤認せず、国際的な診断基準に基づいた判断ができるようになることで、早期発見につながります。
また、交流会ではサージセルの必要性についても言及します。オスラー病患者にとっては、止血材としての役割を果たすサージセルが重要であり、今後の扱いについての見直しが求められます。
開催概要
- - 日時: 2025年11月30日(日)10:00~16:00
- - 会場: かながわ労働プラザ(横浜市中区寿町1-4)
- - 募集人数: 55名
- - 参加費: 無料
- - 講師: 小宮山雅樹医師
- - 主催: 特定非営利活動法人日本オスラー病患者会
参加を希望される方は、事前の申し込みが必要です。医療の未来を担う皆さんの参加をお待ちしております。