スーダンでのコレラ流行の現状
2025年の夏、スーダンは過去数年で最も深刻なコレラの流行に直面しています。内戦が2年以上続く中で、コレラは人びとの暮らしに壊滅的な影響を与えています。スーダンの保健省が1年前に流行を宣言して以来、疑い例は累計99,700件に達し、2,470人以上の死亡が確認されています。特に、ダルフール地方では、国境なき医師団(MSF)が短期間で40人の死亡を報告しました。
コレラの原因と現状
コレラは、コレラ菌によって引き起こされる水媒介性の感染症です。主に衛生環境が悪化し、安全な水の供給が行われていない地域で広がります。感染すると、数時間以内に致命的な症状が現れることもあり、特に食器や食べ物を洗うことができない状況ではその危険が増します。
ダルフールの北部地域、特にタウィラでは、38万人以上が州都エル・ファシール周辺の戦闘から逃れ、極めて厳しい水状況にあります。タウィラのコレラ治療センターでは、公式な病床数に対して400人以上の患者が押し寄せ、施設は人で溢れかえっているとのことです。医療スタッフは、床に敷いたマットレスの上で患者のケアをしなければならない状況です。
水と衛生環境の整備が必要
タウィラでは、住民が1日あたり得られる水の量は平均わずか3リットルに過ぎず、世界保健機関(WHO)が定めた基準の半分にも満たないのが現状です。コレラ患者が次々と増える中、清潔な水と衛生環境の整備がない限り、さらなる死者が出る恐れがあります。
MSFのプロジェクト・コーディネーターであるシルバン・ペニコーは、汚染された水源から水を摂取せざるを得ない状況の深刻さを訴えています。特に、あるキャンプの井戸からは遺体が発見されており、清浄な水の入手がいかに困難かを物語っています。
医療の逼迫と不足する資源
タウィラから100キロの所に位置する中央ダルフール州のゴロでもコレラが確認され、MSFは73床の治療センターを開設しましたが、患者が殺到し、キャパシティが極限まで達しています。流行は急速に広がり、周辺地域でも大雨による水の汚染が進んでいます。南ダルフール州でも患者数が増えており、MSFはニヤラの治療センターを拡張していますが、深刻な浄水剤の不足にも直面しています。
解決策と国際的な協力の必要性
医療施設や支援団体は、迅速な医療の提供、水と衛生環境の改善、集団での予防接種を行う必要があると訴えています。戦闘により避難した人々の移動が、スーダン国内だけでなく隣国にも影響を与えています。
MSFスーダン活動責任者トゥナ・トルクメンは、現状が緊急事態を超えていると警鐘を鳴らしています。日々命が失われている状態で、国際社会による緊急支援と調整が求められています。内戦で傷ついた人びとの命を救うために、迅速な行動が求められています。