JICとAtomico、日欧スタートアップエコシステム発展に向けたサミット開催
2024年11月7日、株式会社産業革新投資機構(JIC)と欧州のベンチャーキャピタルAtomicoは、日本におけるスタートアップエコシステムの発展を目的としたイベント「Innovation Summit~Learnings from the European tech ecosystem~」を共催しました。
このサミットは、JICがAtomico運営ファンドに出資したことを受け、両者の連携強化を目的として開催されました。欧州テクノロジー業界のリーダーであるAtomico創業者のNiklas Zennström氏や、パートナーのTom Wehmeier氏らが出席し、講演を行いました。
欧州スタートアップエコシステムの成功と日本の可能性
サミットでは、欧州のスタートアップエコシステムが発展を遂げるまでの道のりと、その成功要因が詳しく解説されました。Zennström氏は、欧州でもユニコーン企業の誕生には時間がかかったと述べ、日本のスタートアップエコシステムの発展にも辛抱強い姿勢が必要だと強調しました。一方で、近年日本の起業家精神の高まりや、優れた企業の台頭にも触れ、日本市場の潜在力に大きな期待感を示しました。
さらに、欧州投資基金(EIF)の役割についても言及し、日本のスタートアップエコシステムの持続的な成長には、政府や官民ファンドの積極的な関与が不可欠だと強調しました。JIC取締役CIOの久村氏との対談では、この点について活発な意見交換が行われました。
Atomicoの先進的な投資支援プログラム
サミットでは、Atomicoの先進的な投資支援プログラムも紹介されました。その一つである「Growth Acceleration Program」は、資金面だけでなく、採用、社内外コミュニケーション、事業開発など、多角的な視点から投資先企業を支援するものです。もう一つの「Conscious Scaling」は、ESG(環境、社会、ガバナンス)要因を重視し、持続可能な成長を目指すプログラムです。これらのプログラムは、起業家との緊密な連携を基盤としており、Atomicoの投資アプローチを象徴しています。
JICの取り組みと今後の展望
JICは、オープンイノベーションを通じた企業の成長支援をミッションとしています。民間ファンドへのLP投資や、傘下のファンドによる直接投資に加え、本イベントのような国際的な知見共有の場づくりにも積極的に取り組んでいます。
特に、DE&I(多様性、公平性、包摂性)の推進に力を入れており、投資検討時におけるハラスメント対策の確認や、投資後のモニタリング、必要に応じた支援などを検討しています。サミットで得られた知見を活かし、スタートアップエコシステム全体へのDE&I浸透を促進していく考えを示しました。
まとめ
本サミットは、日欧のスタートアップエコシステム発展に向けた重要な一歩となりました。JICとAtomicoの連携は、日本のスタートアップ企業にとって大きな追い風となるでしょう。今後、両者の協働が、日本のイノベーションをさらに加速させることが期待されます。