株式会社スペースデータが宇宙ロボット実動作データを無償公開
東京都港区に本社を置く
株式会社スペースデータは、宇宙技術の開放に向けた大きな一歩を印象づけています。今回、同社はJAXAが開発した国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」実験棟内で運用されている船内ドローンロボット
Int-Ball2の実動作データを無償で公開しました。これにより、研究者や開発者はこの貴重なデータを自由にダウンロードし、さまざまなシミュレーション環境で分析や活用ができるようになります。
このデータには、2025年5月に
きぼうの内部で実施された実証実験において取得されたものを基にしています。具体的には、Int-Ball2が実際に操作された際の誘導制御の目標やステータス、力やトルクコマンド、プロペラの制御データ、IMUセンサの値、またVisual SLAMに基づく自己位置推定結果などが含まれています。これにより、ロボティクス分野における研究や開発がより活発に行われることが期待されています。
デジタルツインと新たなアプローチ
Int-Ball2の動作データを利用して作成されたデジタルツインの動画も6月に公開され、これが大きな注目を集めています。このデジタルツイン技術により、Int-Ball2の動作を仮想空間で再現でき、宇宙空間におけるロボットの動きやその挙動を監視することが可能になります。
特に、
きぼうの中でのカメラの死角など、観察が難しい領域におけるInt-Ball2の動作も逃さず、様々なアングルから分析することができるため、研究者にとっては非常に有意義なデータとなっています。これにより、地上技術の宇宙転用や宇宙開発の進展が加速することが見込まれています。
利用環境の充実
公開されたデータは、
ROS(Robot Operating System)形式で提供されており、広く利用されているため、ロボット研究者や開発者は自身の開発環境においても活用しやすくなっています。さらに、Int-Ball2の動作データをリアルタイムで再生できる中間シミュレーターも提供されており、これにより高度なシミュレーションが行えるようになっています。JAXAのシミュレーターである
Gazeboや、SpaceDataの
Isaac Simが対応しており、簡単にデータを再生・解析することが可能です。
アクセス方法
データのダウンロードは、以下のリンクを通じて行えます。情報収集や研究に興味のある方には魅力的な機会となるでしょう。
データダウンロードはこちら
企業のビジョンと今後の展望
株式会社スペースデータは「宇宙の民主化」を掲げ、宇宙技術をより身近に感じられるようにしたい意向があります。これにより、宇宙産業の革新や持続可能な宇宙社会の実現を目指し、デジタルツイン技術やオペレーティングシステム開発に注力しています。宇宙はもはや遠い存在ではなく、誰もが利用できるインフラとして進化し続けているのです。
宇宙技術へのアクセスが広がることで、今後さらなる革新がもたらされるでしょう。日本の宇宙産業は、スペースデータの活動によって新たな展開を迎えることが期待されています。