企業広報力調査の結果
電通PRコンサルティングの企業広報戦略研究所による「第6回企業広報力調査」が発表されました。この調査は2014年から隔年で実施され、上場企業の広報活動とその課題を明らかにすることが目的です。本年の調査では、約3,800社に対し実施された結果、533社から回答がありました。
調査の概要
調査は2024年5月19日から8月20日まで行われ、企業広報戦略研究所が独自に設計した「価値づくり広報モデル」に基づき、企業の広報活動を評価・分析しています。調査結果は、広報戦略作成や、コミュニケーションの影響を測定する上での重要な指標となります。
主な調査結果
1.
広報力の現状
日本企業の広報力スコアの中で最も高かったのは「PESO活用力」でした(40.6点)。一方で、情報発信前の「ファクト力」や、社会への影響を評価する「インパクト評価力」は課題として残っています。
2.
業界別広報力ランキング
業界別では、「電力・ガス」が1位、続いて「輸送用機器・精密機器」が躍進を見せています。特に、「輸送用機器・精密機器」は前回最下位から急激に順位を上げました。
3.
重視するターゲット
広報部門が重視するステークホルダーは、1位が「株主」、2位「顧客」、3位「個人投資家」、4位「従業員とその家族」です。ここまで「人的資本」を意識している姿が伺えます。
4.
広報業務の多様化
今後さらに強化したい広報活動として、「中・長期的な広報戦略の作成」が1位に選ばれています。企業の多様なテーマに対する広報業務が増加傾向にある中で、経営戦略と連携した広報の重要性が増しています。
5.
効果測定の方法
広報効果の測定方法には、新聞や雑誌での報道件数が多く用いられており、株価の動向も以前に比べて重視されるようになっています。
企業広報の現状と課題
調査結果を踏まえ、日本企業の広報戦略には「PESO活用力」が高く評価される一方で、ファクトの理解不足や環境への影響評価に課題を感じている企業が多いことが明らかになりました。広報活動の目的として、企業の活動実態を正確にプロデュースし、それを元に社会と繋がりを持つことがますます重要になっています。
まとめ
広報部門におけるターゲットや業務の充実が進む中、今後の取り組みとして「中・長期的な広報戦略の策定」が求められています。企業が持続的に成長していくためには、すべてのステークホルダーを意識した広報活動が不可欠です。また、データに基づく広報施策の効果測定も、企業価値を高める上で重要な視点となります。今後の広報活動に期待が高まります。