キリンホールディングス、2025年大会で技術賞を受賞
2025年11月7日から8日にかけて開催される「日本ブドウ・ワイン学会(ASEV Japan)2025年大会」において、キリンホールディングス株式会社が「無菌培養植物によるブドウべと病菌の継代培養技術確立」で技術賞を受賞しました。この受賞は、ブドウ栽培における病害対策の新たな指針となることでしょう。
研究の背景
果樹栽培においては、病害の発生を抑えるために農薬の利用は不可欠ですが、最近では特定の農薬が効かない「薬剤耐性菌」が問題となっています。特にブドウの主要な病害である「べと病菌」は、生きた宿主細胞でしか生育できないため、従来の方法では評価が困難でした。このような状況の中、キリンの研究チームは独自の植物無菌培養技術を基盤とした新しい生物検定法を開発しました。
栄誉ある技術賞
受賞者はR&D本部飲料未来研究所の柳沢佳奈子氏と佐々木佳菜子氏であり、授賞式には日本ブドウ・ワイン学会会長の大滝淳史氏も出席しました。この技術の特徴は、無菌状態のブドウを使用した通年評価が可能で、従来の農薬の使用評価の壁を打破したことです。
技術の詳細
本技術によって、圃場での非感染葉を必要とせず、ブドウの葉が入手困難な時期においても評価が行えます。さらに、あらゆる薬剤の評価にも対応可能な柔軟性があるため、農薬選定において非常に重要な役割を果たします。加えて、べと病菌の凍結保存と継代の技術も確立され、圃場ごとの菌特性に応じた精密な薬剤選定が実現しました。
未来への展望
この新しい技術は、2025年3月からシャトー・メルシャン圃場での薬剤耐性評価に活用され、健全なブドウ栽培への貢献が期待されています。キリンホールディングスは、今後も環境課題に積極的に取り組み、持続可能な地球環境を次世代につなげることを目指して、さまざまなプロジェクトを進めていく意向を示しています。
この技術賞の受賞は、キリンホールディングスが持つ革新の力と、ブドウ産業への貢献を示す重要なステップです。今後の研究成果にも期待がかかります。