320年ぶりに発見されたバッハの新曲、鈴木雅明が演奏
音楽の歴史に新たなページが加わる瞬間が迫っています。2023年11月23日(日)午後3時、東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアルにて、バッハ・コレギウム・ジャパンの第169回定期演奏会が行われ、鈴木雅明が演奏する2曲のJ.S.バッハのオルガン作品が初披露されるのです。この作品は、320年間行方不明であった新たな発見として注目を集めています。
バッハの未知のオルガン作品
2023年11月17日、ライプツィヒのバッハ資料財団は、バッハの手による未知のオルガン作品の存在を発表しました。それらはブリュッセル王立図書館に保存されていた筆写譜集に含まれており、2曲のチャコーナが新たに見つかりました。これを発見したのは長年の研究に取り組んできたライプツィヒ・バッハ資料財団の所長ペーター・ヴォルニー氏。彼は30年以上前にその存在に気づき、今回、この作品がJ.S.バッハによるものであることを確証しました。
バッハの若き日と新曲の特色
バッハが18歳でアルンシュタットに赴任する1703年前後は、彼の成長著しい時代でした。今回の2曲には、南ドイツ系の伝統と北ドイツ技法を融合させようとする若きバッハの姿が映し出されています。変奏やオスティナートを用いた構造や、カンタータ第150番《主よ、われ汝をあおぎ望む》BWV 150のチャコーナを想起させる素材が随所に表現されています。
この2曲の存在を証明したのは、無名のオルガニストザロモン・ギュンター・ヨーンという存在です。2023年以降、ヴォルニーが統括する「BACH Research Portal」の研究中に、1729年の願書が見つかり、そこにヨーンが「1705〜1707年にバッハの弟子だった」と記されていました。さらなる筆跡照合により、今回の2曲も彼の手によるものであることが判明し、作品の成立年代と背景が明らかになったのです。
新たな情熱との出会い
新たに加わる作品の番号はBWV目録に反映され、この発見は75年以上の基礎研究の成果を実証するものであり、若きバッハの姿をさらに豊かに描き出すものとなります。これらの発見がバッハの音楽世界にどのような影響を与えるのか、ファンにとっても楽しみなポイントです。今後の演奏会では、鈴木雅明がどのような解釈でこれらの曲を演奏するのか、大いに注目が集まります。
この新たな発見を記念して行われる定期演奏会は、60年以上にわたりバッハの作品を追求してきたバッハ・コレギウム・ジャパンによるもので、バッハ音楽の深淵を知る絶好の機会となることでしょう。音楽界における大イベントとして、11月23日の演奏会を是非見逃さないようにしましょう。
詳しい情報はバッハ資料財団の公式サイトで確認できます。