シンガポールを拠点とするキャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)が、アジア太平洋地域における不動産投資運用のより強固な基盤を築こうとしています。CLIはSCキャピタル・パートナーズ・グループ(SCCP)の株式の40%を、約2億8000万シンガポールドルで取得する契約を結びました。この戦略的パートナーシップは、2030年までにSCCPを完全買収することを視野に入れており、両社のファンドマネジメント能力を強化することを目指しています。
この取引が実現すると、CLIの預かり資産残高は110億シンガポールドル増加し、合計で1,130億シンガポールドルとなる見込みです。これにより、アジア太平洋地域における不動産投資運用会社としての地位を一層強化することが期待されます。CLIとSCCPの協力により、ホスピタリティ関連、住宅不動産、再生可能エネルギーなど、多様な資産クラスが網羅されることになります。
特に日本市場においてCLIは、SCCPの資産残高において76%を占める大きなシェアを持っており、今回の買収を通じて日本でのプレゼンスが大幅に向上します。CLIの日本市場における預かり資産残高は、現在の29億シンガポールドルから約110億シンガポールドルにまで増加する見込みです。この変化により、CLIの日本での資産占有率は3%から約10%に引き上げられると予想されています。
また、CLIはSCCPの運用するジャパン・ホテル・リート投資法人(JHR)を通じて、アジア太平洋地域最大級の時価総額を誇る上場不動産投資信託(REIT)運用会社としての地位を向上させることも狙っています。CLIの上場ファンドの預かり資産が630億シンガポールドルから690億シンガポールドルに増加することで、日本のREIT市場にも初めて参入できるのです。
CLIのグループCEOであるリー・チー・クン氏は、「この買収は、我々のグローバルなリアルアセット運用能力を拡張し、ステークホルダーにさらなる価値を提供する材料になる」と強調しました。また、双方の強みを組み合わせることで、より広範な投資家へのアクセスを可能にし、様々なファンド商品を提供できるようになるとしています。
SCCPの会長であるスチャッド・チアラヌサティ氏も、このパートナーシップが新たな成長の機会を生み出すと述べています。CLIとの連携を通じて、資本投下が加速することが期待されています。
この合意が実現すれば、両社はそれぞれの専門性を生かし、多様化する投資戦略を通じて新たな価値を投資家に提供できるようになります。CLIの戦略的投資方針がどのように実を結ぶのか、今後の動向に注目です。
最後に、CLIはサステナビリティにも強い意欲を持ち、2050年までの炭素排出ネットゼロを目指して活動しています。責任ある投資と運用を通じて、地域社会への貢献も重要視されているのです。これらの要素が合わさり、CLIとSCCPがアジア太平洋地域でのインパクトをさらに拡大することが期待されています。