近年、日本での就業を希望する外国人求職者が増えている背景には、多くの要因が影響しています。特に今回は、株式会社ダイブがインドネシア、ベトナム、ネパール、ミャンマー国籍の177名を対象に実施した「日本での就業」についての意識調査から、その実態を探ります。
調査によると、日本で働く理由で最も多かったのは「他国に比べて安全」との回答で、55.4%がこの点を挙げています。これは、日本が治安の良い国として認識されていることを示しています。また、将来日本への移住を希望する層も36.2%存在し、日本文化に対する関心(33.3%)や高い給料(26.0%)も要因となっています。これらのデータは、求職者が給与よりも安全性や文化的な体験を重要視していることを反映していると言えるでしょう。
次に、日本のホテルや旅館業に対する印象についても調査が行われました。この結果、65.5%が「日本の伝統や文化を体験できる」と答えており、また53.7%が「専門的な接客スキルを学べる」と好印象を持っています。職業選択の際に職場の安定性は特に低い21.5%にとどまっていますが、宿泊業に対する期待感がうかがえます。
さらに、円安による日本での暮らしへの懸念が広がる中でも、37.9%の求職者が「スキルを身につけたい」とし、日本での生活環境が魅力的だと感じる意見が37.3%を占めた調査結果は、制度や企業文化が魅力的であることを示しています。また、「日本で働いた経験がキャリアに役立つ」という意見も36.7%見られ、これらが日本での就業を希望する大きな要因であることが分かりました。
働く環境において最も重視されている点は、「上司や職場の同僚との関係」で52.0%があります。これに次いで、44.6%が外国人労働者へのサポート体制を重視しています。つまり、福利厚生や教育体制に加え、人間関係の質が職場選びでの魅力となっているのです。
逆に不安に思っていることとしては、特に「日本語でのコミュニケーション」に対して53.1%が「うまくできるか不安」と答えています。外国人ならではの悩みも影響しており、31.6%は「差別や偏見」の存在を懸念しています。
また、生活環境についての不安は、最も「生活費が高い」との回答が50.3%あり、日本の生活水準と比較した場合のコストが求職者にとって重要な要素だとされています。その他には、42.9%が「日本語のコミュニケーション」、26.6%が「文化やマナーの違い」に対する抵抗感を挙げています。
調査を通じて見えてきたのは、日本での就業を希望する外国人求職者が、給与や仕事の安定性よりも、むしろ安全性や文化的な体験、職場の人間関係、教育環境の充実を求めているということです。これらの要因が、外国人求職者の日本における就業希望を強く後押ししていると言えるでしょう。
この調査を実施したダイブ社は、全国の観光施設に特化した人材サービスを行っており、実に年間9,320人の観光従事者を生み出しているという実績もあります。彼らがもたらす多様な価値が、今後の日本経済においても重要であることは間違いありません。