職場におけるハラスメント実態調査
エン株式会社が運営する転職サイト『エン転職』が実施した「ハラスメント」に関する調査が、職場でのハラスメントの実態に光を当てました。この調査には、1,955名のユーザーからの回答が寄せられ、結果として驚くべき傾向が浮き彫りになっています。
調査結果の概要
調査結果によると、
63%の社員が職場でハラスメントを受けたことがあると回答しました。この数字は年代によって異なり、40代以上の層では68%に達しています。また、男女別では男性が65%、女性が59%と、やや男性の方がその割合が高くなっています。さらに、ハラスメントを受けたとするユーザーのうち、約
30%が誰にも相談しなかったことが明らかになりました。この理由として最も多かったのは、「相談しても解決にならないと思ったから」であり、68%がこの見解を示しています。
パワハラが多数を占める
受けたハラスメントの中で最も多い種類は「パワハラ」であり、90%の人が経験していると回答しました。特に20代と40代以上の間では、被害として挙げられるハラスメントの内容に違いがあり、20代ではセクハラ、40代以上ではパワハラが多くなっています。また、男女別の結果でも、男性はセクハラに対しては比較的少数派であり、女性が半数以上(41%)がセクハラに経験しているという結果が出ました。
具体的なエピソード
もちろん、ハラスメントの具体的な事例も多く寄せられています。例えば、電話での激しい叱責や、全員の前での思いもよらない叱責が挙げられています。ある20代女性は「『残業が多いのはお前が能力不足だからだ』と全員の前で言われた」と報告しています。他にも、職場でのセクハラとしては、「ショートカットだとモテない」と言われた、社内のチャットでの猥談など、さまざまなケースが紹介されています。
相談しない理由と対策
相談をしなかった理由については、「相談しなかった理由」にも目を向ける必要があります。回答者の中からは、相談先として「上司」が32%、そして「誰にも相談していない」という回答が31%あり、多くの人がハラスメントの問題を内に秘めていることが伺えます。これに対し、相談した結果においては、
解決したという回答はわずか11%で、63%は何ら解決しなかったか、状況が悪化したと答えています。
ハラスメント対策の現状
ハラスメントの対策については、調査対象の45%が「実施している」と回答していますが、それでも
31%は未実施という結果です。実施されている対策としては「相談窓口の設置」が77%と最も多かったですが、「ハラスメントに関する研修の実施」については52%にとどまります。今後企業に求められる課題は、会社の内部環境を皆で見直し、具体的な有効対策を講じることにあるでしょう。
結論
この調査は職場におけるハラスメントの実態を改めて浮き彫りにしました。利用者の多くが孤独な戦いを強いられ、状況の改善に向けた体制が整っていないことがわかります。ハラスメントを無くすためには、まずは相談できる環境を整えることが急務です。そして、企業が本気で取り組む姿勢と、現場の社員同士の信頼関係が重要なポイントになるでしょう。