氷室冴子の名作『銀の海 金の大地』が復刊
1980年代から90年代にかけての少女小説ブームをリードした著名な作家、氷室冴子氏。その代表作である『銀の海 金の大地』が、このたび集英社オレンジ文庫から見事に復刊されることが決定しました。この重要な発表は、2025年に創刊10周年を迎えるオレンジ文庫にとって、特別な企画の一環です。
全11巻からなる『銀の海 金の大地』は、氷室冴子氏が『古事記』をモチーフにした古代ファンタジーの傑作です。この物語は、1992年から1995年にかけて、当時の人気を博したコバルト文庫で連載されたもので、当時の一世を風靡しました。主人公は14歳の少女・真秀(まほ)。彼女は、病気で寝たきりの母・御影と、特殊な能力を持った兄・真澄と共に苦しい日々を送りながらも、勇気を持って生き抜く姿が描かれています。
本作の複雑なストーリー展開や、感情豊かなキャラクターたちは、当時の読者に深く共感を呼び、多くの愛好者を生む原動力となりました。読者は、真秀が直面する様々な試練を通じて、自分自身の内面と向き合うことができ、物語に夢中になることでしょう。
集英社オレンジ文庫は、ファンから寄せられた復刊を望む声を受けて、今回の復刊を実現しました。特に2025年1月20日から11月にかけて、毎月1冊ずつのペースで刊行される予定であり、ファンにとって大変嬉しいニュースとなっています。
新たに描き下ろされたカバーイラストや挿絵は、氷室さんのコバルト文庫版でも美しいアートを手がけた画家、飯田晴子氏によるものです。この復刊では、作品に初めて触れる新しい読者にも物語の魅力を親しんでもらうため、物語の冒頭を描いたコミックも公開予定です。
また、各巻の巻末には、数々の文筆家による解説も収録されることになっています。1巻には書評家の嵯峨景子氏が寄稿し、以降の巻でも様々な著名な作家たちがその魅力を伝える予定です。これにより、今まで本作を知らなかった方々も、新たな発見を楽しむことができるでしょう。
「銀の海 金の大地」は、氷室冴子氏が情熱を注いで書き上げた作品であり、そのストーリーはただのエンターテインメントを超え、人々に心の支えと勇気を与えてきました。氷室冴子氏は、多くの若者にとっての精神的な指針となる存在でした。彼女の作品は、今なお色褪せることなく、多くの世代に影響を与え続けています。
さらに、著作権を持つ集英社の取り組みとして、復刊を記念して朗読映像の公開や、イベントも企画されています。このイベントでは、氷室さんにゆかりのある作家や評論家たちが集まり、「銀金愛」について語るトークショーが予定されており、多くのファンがその情熱を共有する場になるでしょう。
復刊された『銀の海 金の大地』は、特に80年代から90年代に読んだ世代の読者にとって、心のふるさととも言える作品です。また、若い世代にもぜひ手に取ってほしい一冊です。
あなたもぜひ、この機会に氷室冴子氏の魅力あふれる世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。彼女の作品が再び新しい世代の読者に届くことを心より願います。