思春期の女の子の権利とウェルビーイングの重要性
7月11日は国連が設けた世界人口デーです。この日を迎えるにあたり、国際NGOプラン・インターナショナルは、思春期の女の子の権利、特に性と生殖に関する健康(SRHR)の実現が、ジェンダー平等と持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために必須であると訴えています。
世界人口の変化とその影響
1987年に世界総人口が50億人を超えたことを記念するこの日、1990年には正式に国連デーとして制定されました。それ以降、世界の人口は増加を続け、2024年には82億人に達する見込みです。国連による予測では、2050年には97億人になるとされています。特に、サハラ以南のアフリカでの成長が著しく、この状況は思春期の女の子にとって重大な影響を及ぼします。
30年間の進展と課題
1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)での決定を受け、個々人の人権を重視する考え方が広まりました。その後の30年間で思春期の女の子に関する状況には多くの進展が見られます。
- - 15歳の女の子の平均寿命は、1995年の74.6歳から2023年には79.1歳に延びています。
- - 高等教育未修了の思春期の女の子の割合は2000年の49%から30%へと改善。
- - 児童婚率は1998年の25%から19%に減少しました。特に南アジアの改善が顕著です。
- - HPVワクチン接種率も増加し、2023年には20%に達しました。
これらのデータは、思春期の女の子の健康や教育の向上を示していますが、一方で停滞や遅れを見せる点もあります。たとえば、就業や教育から排除される女の子の割合は依然として高く、特に低所得国ではインターネット利用が著しく制限されています。
SRHR実現に向けた喫緊の課題
性と生殖に関する権利(SRHR)は、女の子が性教育や医療サービスにアクセスし、自己決定権を享受するために不可欠ですが、現状では多くの女の子にその権利が十分に保障されていないのが実情です。
たとえば、毎年、妊娠や出産に関連する合併症で15~19歳の女の子の約23人に1人が亡くなっており、これは非常に深刻な問題です。また、思春期の新規HIV感染者の70%が女の子であり、地域によっては男の子の約6倍にも達します。これらのデータは、女の子が力を持たず、必要な情報やサービスにアクセスできないことを示しています。
プラン・インターナショナルの活動
プランは、思春期の女の子が自分の体や未来について選択できる環境を整えるために、包括的性教育や保健サービスの拡充に努めています。たとえば、ラオスにおける「女の子の衛生改善」プロジェクトでは、安全な水や衛生設備を整備し、女の子たちが月経の管理に対する理解を深められるよう支援しています。
また、ソマリアでは、女性性器切除(FGM)などの有害な慣習から女の子を守るために、情報提供や医療サービスを展開していることも特徴です。
行動を加速しよう
思春期は女の子が自らの未来を形作る重要な時期です。この時期に彼女たちに投資することは、倫理的な義務であり、社会全体、経済にとっても大きな利益になります。
プランは、すべての女の子が自分の力を最大限に発揮し、未来を創造できる公正な世界を実現するために、関係者に行動を呼びかけています。政府や機関、政策立案者には「女の子の声を聴き、尊重し、行動に移す」ことが求められています。こうした取り組みを通じて、思春期の女の子の権利の実現に向けた行動が加速することを期待しています。