概要
東京都世田谷区で行われた「電話窓口の通話録音データを活用したナレッジ生成に関する実証実験」について紹介します。この実験は、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社が主導し、世田谷区の行政サービスの向上に向けた重要な試みです。近年、区民からの問い合わせ内容が多様化・複雑化しており、対応の負担が増加していることが大きな課題となっています。この実験では、実際に寄せられた電話の通話録音データを収集し、分析することで職員の業務を効率化し、区民への迅速で的確な情報提供を目指します。
実施背景
世田谷区では、区民の生活様式やニーズの多様化に伴い、行政へ寄せられる問い合わせが急増しています。しかし、各担当課への正確な情報提供が難しく、事業所の代表電話に問い合わせが集中することが多くなっています。このため、対応する職員にとっては業務の合間に電話応対を行う必要があり、大きな負担となっていました。また、職員の対応スキルが個々の経験に依存しているため、業務効率の低下を招いています。こうした背景から、パーソルビジネスプロセスデザインは、区民にわかりやすく情報を提供するための体制を構築することを決定しました。
実証実験の内容
実証実験は2026年1月から2月にかけて実施されました。合計約1,800件の通話録音データを収集・テキスト化し、その内容を構造化してナレッジとして整理しました。このプロセスにより、得られたナレッジ約270件が用件の特定や適切な担当課への取り次ぎにおいて、実際の業務に有効に活用されることが確認されました。特に、マイナンバーカードや確定申告など、特定の時期に集中する問い合わせ傾向が見つかりました。
効率化の影響
この実験の結果、職員の負担を軽減し、問い合わせの適切な処理が可能となる見込みです。さらに、将来的にはAIによる自動応答システムの導入も視野に入れており、区民自身が疑問を解消できる仕組みを構築することを目指しています。また、職員の持つ知識をデータベースに蓄積し、問い合わせ内容に対する知識を一元化することで、異なる問題に対しても柔軟に対応できる体制を整えます。このことにより、ナレッジの可視化が進み、職員はより市民サービスに専念できる環境が整います。
今後の方針
パーソルビジネスプロセスデザインは、今回の実証実験を基に、電話対応の標準化や効率化モデルの構築を進め、さらにはAIやチャットボットの導入にも取り組んでいく予定です。この基盤の上で、世田谷区内のみならず全国の自治体における窓口業務の効率化を支援し、社会全体の行政サービスの品質向上に貢献していく考えです。
結論
「はたらいて、笑おう。」というビジョンをもとに、パーソルビジネスプロセスデザインは今後もテクノロジーを駆使して、より良い行政サービスの実現に向けた取り組みを進めていきます。この実証実験を通じて、行政と市民のつながりが強化され、より円滑なコミュニケーションが実現することが期待されます。