中世の薬草医療を探る旅
2025年1月に発売予定の書籍『新装版 ひみつの薬箱 中世装飾写本で巡る薬草の旅』が、我々を中世ヨーロッパの神秘的な薬草医療の世界へと誘います。著者ジュヌヴィエーヴ・グザイエによるこの作品は、中世の植物画集「スローン写本」の美しい図画を通じて、古代から中世の薬草、動物、鉱物に基づく医療の知恵を深く掘り下げています。
魅力あふれるハーブの知恵
この本は中世の医学と薬草に関する貴重な知識を提供します。中世の人々が実践していた「新奇なハーブ」をはじめ、薬草の効能はしばしば驚くべきものであり、現在にも通じる有益な知識が詰まっています。ハーブはしばしば現代の感覚から見ると荒唐無稽ですが、それもまた本書の魅力です。
古文書のような図画に魅了される
ページをめくるたびに、美しい古文書の如き妖しい図画が広がり、まるで暗く湿気を帯びた西洋の書庫に身を置いているかのような気分になるでしょう。これらのビジュアルは、本書の内容をより一層引き立て、読者を古の時代へと引き込んでいきます。
多角的な視点からの医学史
本書は、薬草医療だけでなく、中世の医療全体に対する多角的な視点を提供しています。目次には、薬草誌「Tractatus de Herbis」に関する考察や医師、病気、医療行為についての章が含まれています。さらに、修道院における薬草療法やサレルノ医学の時代についても詳しく解説されています。
著者と監修者のプロフィール
ジュヌヴィエーヴ・グザイエは、パリ高等研究実習院を卒業後、リエージュ大学で歴史学博士号を取得。彼女は、中世から近代における実践医学史および薬学史の専門家として知られています。また、監修を務める久木田直江も、中世英文学・文化史の専門家であり、本書には彼の深い知見が反映されています。
書籍の情報
新装版の『ひみつの薬箱』はB5変並製で、総176ページの内容で、定価は2,970円(税込)となっています。ISBNは978-4-7661-4010-1です。発売を待ち望む読者にとって、この書籍は薬草医療の歴史を知るための大きな一歩となることでしょう。
関連書籍にも注目
また、本書に関連する書籍『中世修道院の庭から』も目が離せません。こちらも中世の歴史や造園、栽培された植物について探求した一冊です。2024年7月の発売予定で、定価は2,750円(税込)です。
結び
『新装版 ひみつの薬箱 中世装飾写本で巡る薬草の旅』は、読者に古の知恵と美との融合を体験させることでしょう。中世という時代の神秘に触れながら、薬草医療の深い世界へと足を踏み入れてみるのはいかがでしょうか。