光触媒による過酸化水素合成
2025-05-07 18:32:19

新たな光触媒技術で過酸化水素合成の効率が向上!

新たな光触媒技術で過酸化水素合成の効率が向上!



近畿大学の理工学部と名古屋大学の研究グループが、次世代のクリーン燃料として注目されている過酸化水素を、革新的な光触媒技術を用いて効率的に合成する新たな方法を発表しました。この研究は、光の利用効率が約500%に達するという驚異的な成果を上げ、太陽光を用いた物質合成の実用化に向けた大きな一歩となることが期待されています。

研究の背景



過酸化水素は、その化学的特性から化成品の合成や半導体の洗浄、さらにはパルプの漂白といった多岐にわたる用途で利用されています。加えて、次世代燃料電池用のクリーンインフラとしての役割も期待されています。これまでの工業的合成方法は、環境への負荷が大きく、より持続可能な手法の開発が急務となっていました。今回の研究は、太陽光エネルギーを利用した画期的な光触媒による過酸化水素の合成を目指しています。

研究成果の詳細



研究チームは、まず市販の酸化亜鉛のナノ粒子とアンチモンドープ酸化スズのナノ粒子を水に加え、簡便な方法でナノ複合光触媒を形成するプロセスを発見しました。さらに、このナノ複合光触媒をエチルアルコールを含む水に加え、酸素ガスを吹き込みながら光を照射したところ、これまでの世界最高濃度の3倍以上の過酸化水素を生成することに成功しました。この際、光の利用効率が約500%という高い数値を達成したことが、研究者たちの関心を引いています。

反応メカニズム



この現象の背後には、光触媒の特性とラジカル連鎖反応の組み合わせがあることが明らかにされました。光電気化学測定やラジカル補足剤の実験を通じて、エチルアルコール由来のラジカルが次々と過酸化水素を生成する連鎖反応が進行していることが確認され、従来の光触媒の常識を超えた高い活性が実現されたのです。

今後の展望



この研究は、太陽光という希薄なエネルギー源から実用レベルの物質合成が可能であることを立証するものであり、多様な応用の可能性を秘めています。また、過酸化水素の合成プロセスに革新をもたらすことで、クリーンエネルギー技術の発展にも寄与することが期待されます。

まとめ



副島哲朗准教授は、「本研究は無機と有機の化学の融合によって、多様性の力を生み出した成果」と述べています。この新しい技術がもたらす可能性に、多くの期待が寄せられています。

今後、さらに詳細な研究が進むことにより、実用化への道が開かれることを望みます。研究は、日本学術振興会の支援を受けて行われました。

論文掲載情報


この研究成果は、イギリスの学術機関である王立化学会の国際学術誌「Chemical Science」に掲載されました。興味のある方は、以下のリンクからご覧いただけます。

論文リンク

会社情報

会社名
学校法人近畿大学
住所
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。