広島から世界へ平和のメッセージを届ける「ヒロシマ・アピールズ 2024」
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)は、1983年から毎年、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金とともに、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴えるポスターを制作し、国内外に向けて平和を呼びかけるキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施しています。
2024年版のポスターは、JAGDAを代表するデザイナーの副田高行氏が制作しました。副田氏は、戦後生まれながらも、毎年繰り返される戦争報道を通して、戦争のむごさと平和の大切さを感じてきました。
「ヒロシマ・アピールズ」の指名を受け、副田氏は「原爆の恐ろしさを、どう表現したらいいのか」と悩んだそうです。デザイナーが頭の中で描くイメージではなく、よりリアリティのある表現を目指し、当時の資料を調査する中で、石内都さんの写真集「ひろしま」に出会いました。
石内都さんは、広島平和記念資料館の遺族の同意を得て、被爆者がその日身に付けていた衣服を撮影しました。副田氏は、その写真集の中に掲載されている、被爆者の遺品である衣服の写真に強い衝撃を受けました。
「ちぎれ、やぶれている衣服の姿は、悲惨さと同時に美しさを感じた。生々しさは消え、恐ろしい瞬間を象徴的に写し取っている」と副田氏は語ります。
この遺品は、「あの出来事を、忘れるな」と訴えかけているように感じ、副田氏は石内さんの許可を得て、その写真をもとにポスターを制作しました。
副田氏のポスターは、石内都さんの写真集「ひろしま」の被爆者の遺品である衣服をモチーフに、モノクロで表現されています。衣服の破れや傷跡が、戦争の残酷さと悲惨さを、直接的にではなく、象徴的に表現しています。
副田氏は、このポスターを通して、戦争の悲惨さを改めて多くの人に伝えたいと考えています。
ポスターの販売・展示情報
「ヒロシマ・アピールズ 2024」のポスターは、以下の場所で販売・展示されています。
販売場所
広島県
広島平和記念資料館(原爆資料館)
広島市平和記念公園レストハウス
広島市現代美術館
東京都
JAGDA事務局(東京ミッドタウン・デザインハブ内)
オンライン
JAGDAオンラインショップ (https://shop.jagda.or.jp)
展示情報
7月12日(金)~8月25日(日)
「日本のグラフィックデザイン2024」展(会場:東京ミッドタウン・デザインハブ)
本ポスターおよび第1回「ヒロシマ・アピールズ」ポスター(亀倉雄策/1983年)を展示
7月29日(月)~8月11日(日)
広島市内のバス停23ヶ所に、本ポスターのデザインを掲示(協力:エムシードゥコー株式会社)
8月25日(日)~8月30日(金)
「ヒロシマ平和ポスター展 2024」(会場:旧日本銀行広島支店)
これまでの「ヒロシマ・アピールズ」ポスター作品、JAGDA広島・長崎・沖縄地区会員の作品、「広島平和ポスター学生コンペティション」選出作品とともに展示
副田高行氏プロフィール
1950年福岡県生まれ。東京都立工芸高校デザイン科卒業。
スタンダード通信社、サン・アド、仲畑広告制作所を経て、1995年に副田デザイン制作所を設立。
サントリー、新潮社、西武百貨店、東京ガス、TOTO、岩田屋、JR九州、シャープ、ANA、トヨタ、トンボ鉛筆、フジフイルム、AGF、朝日新聞社、NIKE、日本医師会、高橋酒造、岩波書店、NHK、JRA、野村ホールディングス、五島の椿、アンデルセン、earth music&ecology、宝島社などの広告を制作。
ADC賞、ADC会員賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、日経広告賞、日本宣伝賞山名賞などを受賞。
著書に『副田高行の仕事と周辺』(六耀社)、ggg Books『副田高行』(トランスアート)、『副田デザイン制作所仕事集』(美術出版社)、『副田高行がつくった新聞広告100選』(玄光社)などがある。
「ヒロシマ・アピールズ」について
「ヒロシマ・アピールズ」は、JAGDAが1983年から毎年実施している、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴える平和を呼びかけるキャンペーンです。
JAGDAを代表するデザイナーがボランティアでポスターを制作し、国内外に向けて平和のメッセージを発信しています。
「ヒロシマ・アピールズ」の詳細については、以下のサイトをご覧ください。
JAGDA公式サイト (https://www.jagda.or.jp/news/8248/)
JAGDA広島地区サイト (http://hiroshima.jagda.or.jp/)
* More details in English (https://www.jagda.or.jp/en/news/8264/)