国連ユニタールがアジア太平洋地域のリーダー育成研修を開催
国連の訓練調査研究所(ユニタール)は、2025年2月10日から21日までの間、アジア太平洋地域に属する18か国から50名の実務者を日本に迎え、「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」というテーマの最終フェーズとなるワークショップを、淡路島、広島、首都圏で行います。この事業は、2023年に行われたG7広島サミットのレガシー・プロジェクトの一環として、日本政府の支援を受けています。
アジア太平洋地域の重要性
近年、アジア太平洋地域では海洋の安全保障に関する緊張が高まりつつあり、気候変動が沿岸地域の生態系や住民生活に深刻な影響を与えています。この背景から、地域社会の課題に対処するためにリーダーを育成する必要性が急務となっています。この研修では、日本の先進的事例を通じて海洋と人間の安全保障に関する知識を習得し、それを基に参加者が自国において実践可能なプロジェクトを設計する力を養うことを目指しています。
研修の特色
アジア太平洋の18か国から集まる参加者は、政府職員やNGOの職員、さらには民間セクターのメンバーなど多様な背景を持ち、各分野での専門家からの講義や出張視察を通じて知識を深める予定です。最終日には、研修の成果を発表するグループプレゼンテーションが行われる予定で、優れたプロジェクト案を選出し、その中から上位3チームは政策提言を発表します。また、基調講演に加え、パネルディスカッションを行う公開イベントが開催され、広く一般にもその学びが共有される機会も設けられています。
研修スケジュール
研修は淡路島、広島、首都圏で日程を分かれて実施されます。
淡路島日程(2月10日〜12日)
- - 開会式と講義(海洋と人間の安全保障、地方創生等)
- - スタートアップによるワークショップ
- - マイクロプラスチックに関するフィールドワーク
広島日程(2月13日〜18日)
- - 平和記念資料館訪問、献花
- - 水産振興センター視察、わかめ収穫
- - 厳島神社訪問と環境保護に関する講義
首都圏日程(2月19日〜21日)
- - 外務省表敬訪問、災害リスク軽減に関する講義
- - 最終発表及び修了式
しまなみコレクティブ
このプログラムは、「しまなみコレクティブ」として、特に社会的に脆弱な立場にある若者や女性のエンパワーメントに焦点を当て、海洋と人間の安全保障を強化することを目指しています。プログラムの名称には、島々をつなぐ「しまなみ海道」のように、国連ユニタールがアジア太平洋地域のさまざまな文化や人々を結びつけることへの願いが込められています。
講義内容の詳細
各地で開催される講義では、日本における海洋と環境問題に関する最先端の研究や特有の取り組みを知ることができます。また、参加者が日本の実例を通して各国の課題を考え、効果的なプロジェクトの実施が求められています。政策策定に向けた実践的なスキルを身につけることで、地域社会における持続可能な発展に貢献できる人材の育成が期待されています。
国連ユニタールが進めるこの取り組みは、今後の海洋安全保障や地域の持続可能な発展において重要な役割を果たすことが見込まれています。