日本企業における海外赴任前研修の実態と課題
ビズメイツ株式会社が実施した調査によると、日本企業における海外赴任前研修の制度が大きな転機を迎えていることが示されています。この調査は500人以上の従業員を持つ企業の人材育成担当者400名を対象に行われ、海外赴任者を輩出する企業における研修の実態とその課題が浮き彫りとなりました。
研修必須化は3割未満、個人任せも3割超
調査結果によれば、海外赴任前研修を必須化している企業は驚くことに3割未満という現状が浮かび上がりました。また、3割以上の企業が研修を個人任せにするか、そもそも未実施であることがわかりました。これにより、各企業の研修体制には大きなばらつきがあり、整備が整っていないことが問題視されています。さらに、9割以上の企業で途中帰任が発生しており、その主な要因が「語学力不足」ではなく「文化適応の失敗」や「現地コミュニケーション不全」にあると指摘されています。
語学研修だけでは不十分
「海外赴任を希望する人材の減少」や「若手世代の海外志向の低下」が最大の課題として挙げられ、語学研修だけでは不十分である事実が明らかになりました。このことから、企業は異文化理解研修を中心に構築した実践的な研修体系の強化が急務であることが示されています。国際的なビジネス環境において、日本人ビジネスパーソンが確実に成功するためには、語学力だけでなく文化や人間関係の構築能力が不可欠とされています。
多様な業界で進む人材派遣
調査では、年間101名以上の海外赴任者を輩出している企業が44.3%にも達し、多くの企業が一定規模以上の人材を継続的に派遣していることが分かりました。国内外の事業展開が進展する中で、今後もグローバル人材の確保が重要視されます。特に、現地での事業展開や人材育成には時間を要することが認識されており、3~5年未満の派遣が最も多いという結果も示されました。
選抜基準に求められる多面的な資質
海外赴任者の選抜基準では、「語学力」「職務経験」「リーダーシップ」が同率で上位に位置しています。また、コミュニケーション能力やストレス耐性も重要視されており、単に語学力があるだけでは不十分です。実際、企業は現地環境でリーダーシップを発揮し、人間関係を円滑に構築できるような多面的な資質を持った人材を求めています。
英語スキルにおけるプレゼンテーション能力の重要性
さらなる調査結果として、海外赴任者に最も求められる英語スキルは「プレゼンテーション能力」とされ、続いてマネジメントや交渉スキルも重視されています。つまり、単なる日常会話の能力ではなく、ビジネスの現場で活躍するための実践的な英語力が求められているわけです。
早期帰任の背景には文化適応の失敗
調査において、任期途中で帰任した理由では「現地の文化になじめなかった」や「現地スタッフとのコミュニケーションがうまくいかなかった」といった項目が上位にランクインしました。これにより、依然として語学力に焦点を当てているだけでは海外での成功は難しいという現実を浮き彫りにしています。
研修体制の必要性と課題
さらに、海外赴任前研修の実施状況についても、必須研修が全員受講されるという企業は3割未満でした。必要な場合でも、個人に任せることが多く、研修の体系が整っていない点が指摘されました。実際には、年間100名以上の赴任者を送り出す企業の中でも、必須研修の実施は限られているのが現状です。
まとめ: 今後の取り組みが重要
この調査の結果から、日本企業は海外赴任を魅力的なキャリアと捉える仕組み作りや、異文化理解の強化が急務であることが明らかになりました。今後、語学力だけでなく文化適応や現地スタッフとの協力を重視した包括的な研修体制を整え、早期帰任を防止することが重要です。企業が目指すべきは、海外赴任を「挑戦したい」と思わせる環境を整え、持続的なグローバル人材の育成を進めることです。