Value wayの挑戦
兵庫県神戸市に本社を置くValue way株式会社は、2023年10月に設立され、コーヒーを中心にした持続可能な農業と循環経済の実現を目指しています。特に注目すべき点は、経済産業省の「令和7年度アフリカ市場活力取り込み支援事業」(通称AfDX)に採択されたことです。このプログラムは、アフリカのウガンダにおけるコーヒーサプライチェーンの環境負荷の削減とカーボンニュートラルを目指し、具体的なアクションを取るための基盤となるものです。
コーヒー産業の現状と課題
ウガンダはアフリカで有数のコーヒー輸出国ですが、環境に関連する法規制が不十分です。そのため、国際的な市場で競争力を持つためには、環境対策が不可欠です。さらに、近年は土壌の劣化が深刻な問題となっており、施肥設計や土壌改良に関する施策が求められています。
Value wayは、独自に開発したコーヒーデータプラットフォーム「Regenerative coffee platform」(RCP)を通じて、これらの課題に立ち向かいます。RCPは、コーヒーの栽培から流通に至るまでの一次データを収集し、温室効果ガスの排出量を算定し、可視化することで、管理の仕組みを提供します。
リジェネラティブ農業とカーボンクレジット
本プロジェクトの特徴は、コーヒーの生産から廃棄後の資源回収までを考慮した持続可能な農業方法、リジェネラティブ農業の導入です。廃棄物として捨てられてしまうコーヒーかすやハスクを活用し、バイオ炭として土壌改良に循環させることで、エコシステムの改善を図ります。このアプローチにより、カーボンプライシングに基づくカーボンクレジットの開発も併せて進められます。
特に、Path Being社との連携が重要です。Path Beingはバイオ炭を主成分にしたカーボンクレジット開発を手掛けており、ウガンダでの実証試験を通じて、どのようにコーヒー農業が環境に寄与できるかを探求します。また、株式会社坂ノ途中の「海ノ向こうコーヒー」とも連携し、日本市場への流通やカーボンファイナンスの適用性を検証する計画です。
将来への展望
Value wayは、コーヒーのサプライチェーンにおけるカーボンフットプリントを算定し、可視化を行うことで、環境に配慮した製品としての認知を広めることを目指しています。これにより、コーヒー業界全体が持続可能な経済に向かうための新たな可能性を切り開くことを期待しています。
最後に、この革新的な取り組みは、未来の農業モデルとしての注目を集めており、国際的な市場においてもウガンダ産コーヒーの地位を高めることに寄与することでしょう。Value wayの活動を通じて、コーヒーの未来がより美しいものになることを願っています。