空気清浄機とフィルター付き空調による粒子削減の新たな研究
日本の産業技術総合研究所(産総研)とダイキン工業が共同で行った研究により、空気清浄機とフィルター付き空調を効果的に使用することで、室内の粒子濃度を最大88%削減できることが実証されました。この成果は新型コロナウイルスの感染リスクを低減し、室内空気の質を向上させる事が期待されています。
研究の背景
新型コロナウイルス感染拡大以降、室内におけるウイルス感染防止策が求められています。特に、換気や空気清浄機、フィルター付き空調によるウイルス除去が急務ですが、その効果の確認には高額なスーパーコンピューターを用いたシミュレーションが必要とされていました。しかし、室内環境はさまざまな条件で異なるため、より現実的で安価な方法が求められています。
研究の目的
本研究では、空気清浄機や空調設備の配置とその運用条件が、室内の粒子濃度に与える影響を実測と簡易シミュレーションで評価しました。この評価により、適切な機器の配置と運用によって、感染症や汚染物質のリスクを大幅に減少させることを目指しました。
研究の方法
研究チームは、特別に設計した32.8 m³のクリーンブース内で、模擬飛沫核の飛散実験を行い、28地点で粒子濃度を測定しました。これにより、異なる設置位置での空気清浄機やフィルター付き空調の影響を、最大21通りのケースで詳細に評価を行いました。
実験結果
この研究によると、空気清浄機を適切な位置に配置し、フィルター付き空調と同時に稼働させることで、室内の粒子濃度を最大88%削減することが可能であることが確認されました。特に、空調にフィルターを搭載し、強力なモードで稼働させた際には、模擬飛沫吐出中において、室内の粒子を94%削減する効果が見られました。これに対し、空気清浄機だけでは空間全体の粒子量を確実に減らすことは難しいという結果が得られました。
簡易シミュレーションの実施
また、スーパーコンピューターを使用しないで行った簡易的なCFDシミュレーションは、実測データと良好に一致しました。このことが、より低コストで迅速に室内環境の評価を行う可能性を示しています。
今後の展望
今後は、医療機関などの特定条件下での空気清浄機や空調の最適な利用法について、さらなる研究が進められる予定です。この研究は、感染症対策や悪化する環境問題に対する重要な知見となり、実際の生活シーンにおける安全性向上に寄与することが期待されています。
研究者たちは、空気清浄機とフィルター付き空調の連携による実装が普及すれば、より快適で安全な室内環境の実現につながると信じています。これからのさらなる研究成果に注目が集まることでしょう。
詳細や続報は、産総研の公式ページで随時更新される予定です。