新たな食品ロス削減に向けた実証実験が始動
2024年1月、今村商事株式会社と関連企業が中心となり、サプライチェーンのデータ連携による食品ロス削減の実証実験が始まります。このプロジェクトは、経済産業省の委託事業として、最終顧客に近い小売業から製造業、卸売業へとデータを共有し、需要予測を高めることを目的としています。
実証実験の背景
日本国内では、年に523万トンの食品ロスが発生しており、そのうち事業系からのロスが279万トンを占めています。小売業者は、正確な需要予測ができず、経験則に頼ることが多く、これが過剰生産や在庫の増加につながっています。サプライチェーン全体でデータを共有することにより、過剰生産の抑制と在庫削減を目指します。
目指すものと期待する効果
この実証実験では、ID-POSデータを活用し、需要予測の精度を上げることに取り組みます。このデータに基づき、企業が共同で発注業務を行うことで、供給力を向上させ、食品ロスの減少が期待されます。また、需要予測データを製造業と連携させることで、的確な生産計画を立案し、効率的な運営を目指します。
1.
発注精度の向上
ID-POSデータを活用することで、小売業者が何を、いつ、どこで購入したのかの情報を分析します。これにより、例えば、「商品Xは商品Yと一緒に購入されることが多い」といった洞察を得ることができます。このようなデータの連携を通じて小売業の発注精度向上を促進します。
2.
サプライチェーン全体のデータ共有
卸売業者が提供する需要予測データを共有し、生産計画の精度を高めることが期待されます。過剰在庫の抑止効果を図るため、各企業がリアルタイムの需要データを基に動くことが重要です。
3.
実際のデータによる検証
本実証実験では実際の発注データを連携しながら、過剰生産の抑制が成功するかを検証します。需要予測を基にした発注量を、納品日の2日前に製造業者へ送信することにより、適切な生産量を見込む試みも行います。
実施内容
実施は大分県と福岡県のスーパー細川で行われ、実施期間は2024年1月22日から2月23日までの33日間です。各社は、次の役割に分担して進めます。
- - 小売業者: スーパー細川がID-POSデータの取得と共有、需要予測に基づいた発注を行います。
- - 卸売業者: 九州シジシーと旭食品が需要予測を行い、各社にデータを共享します。
- - 製造業者: 九州一庵とフジミツが需要予測を元に生産計画を立案。
今後の展望
本実証実験が成功した際には、各企業がこの手法を基に、食品ロス削減やサプライチェーンの効率化に役立つサービスを開発していくことが期待されています。精度の高い需要予測システムの導入は、持続可能な社会に向けた重要な一歩となるでしょう。今後の成果発表に注目です。