著者の思い出と仏教僧たち
大髙住夫による新刊『わが妙なる出会いの記――いのち輝かせた僧侶たち』が2025年1月31日に発売される。本書では、著者が青年期に禅の雲水としての経験を経て、長年のジャーナリズム活動を通じて巡り会った仏教僧との貴重な出会いが描かれている。著者は、学生時代から禅の大家である鈴木大拙の著作に触れ、自身も臨済宗の寺院で雲水として修行を行う。
初めての雲水体験
本書の冒頭部分では、著者が修行を始めた時の思い出が語られる。鈴木大拙の著作から得た知識だけではなく、実際の修行を通じて経験した数々の出会いが、今も心に残っていることが述べられている。雲水としての生活は、厳しさの中にも深い学びがあった。
取材活動を通じた仏教者との出会い
1970年代後半には、著者はインドとスリランカを巡礼し、その後は宗教専門新聞社で記者として働き始める。そこで多くの宗派の僧侶や学者との出会いがあるが、それらは著者が修行で得た教えと深い関係がある。取材を通じて、仏教のもつ普遍的価値やヒューマニズムを感じ取り、それによって人々のつながりが強まったことが強調されている。
明かされる生活史
書籍は全4章で構成されており、第一章では特に印象的だった29人の僧侶や尼僧たちの思い出が綴られている。雲水としての修行僧時代に接した臨済宗、曹洞宗の教えを受けた老師たちのエピソードが中心となっており、著者自身の心の成長が語られている。
第二章では、中川祐俊師について詳細に述べられており、彼の生涯を追う形で、知的障害者施設・慈光学園の創設や、その背景にあった戦争体験が描かれている。著者は1983年から2005年の間、中川師を取材しており、彼の理念や行動が如何に人々に影響を与えたのかを伝える。
仏教と文学
第三章では元宗務総長・川田聖戍師の随想集を通じて、仏教の思想がどのように多彩な文学と結びついているのかが探求されている。文学を愛し、多くの文化人との交流を持った川田師の思い出が詳細に描かれ、日本文学と仏教の歴史的な流れに触れたエピソードも紹介されている。
生老病死の理解
最後の章では、仏教の根本的なテーマである生老病死について、著者は自身の理解を深めるために振り返った出来事をまとめている。安泰寺での修行を通じ、釈尊の教えに反映される人生の苦難と、その中でいかに生きるのかを真剣に考えさせられる内容となっている。
最後に
本書は、著者の人生を通して得た情報と体験を基にしたものであり、ただの宗教に関する本ではなく、普遍的な人間の物語としても楽しめる一冊となっている。仏教の教えがいかに人々の生活の中で息づいているのかを伝え、読者に新たな視点を提供することでしょう。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。