医療データの統一に向けた画期的な一歩
株式会社MeDiCU(本社:大阪府大阪市)が、医療データの統一に関する特許を取得したと発表しました。特許番号7780820号の取得によって、同社が開発した技術が医療機関におけるAIの学習と運用を一層加速させることが期待されています。
特許取得の背景
今回の特許は、病院や医療機器ごとに異なる形式の医療データを機械学習に適した「基準形式」に統一することを目指しています。この技術により、患者の急変を予測するAIの開発を促進することができます。医療AIの発展においては、質の高いデータが不可欠ですが、多くの医療機関でデータ形式が統一されていないため、効果的なAI開発が困難な現状がありました。
特許技術の具体的内容
MeDiCUが取得した特許では、医療データを3つの基準形式に整理することが提唱されています。具体的には次の三種類です。
1.
静的形式:患者の基本情報(年齢、性別など)を保存。
2.
点時系列形式:バイタルサインや検査値など、特定の時点におけるデータを保存。
3.
区間時系列形式:治療の開始と終了を記録し、時間に渡るデータを扱う。
これにより、異なる医療機関に存在するデータを一元化し、AIの学習に利用することが可能になります。これらの形式にデータが適切に整理されることにより、医療AIの学習時に医学的文脈が失われることを防ぎます。
AIの開発と実用化に向けた取り組み
MeDiCUは、この特許技術を基盤に、急変予測AIの設計を進めています。急変予測モデルでは、床の患者が急変する可能性のあるイベント(例:ICU再入室、重篤な呼吸状態変化など)を特定し、臨床現場で実運用することが視野に入っています。
2025年度内には、国内のいくつかの医療機関でα版の導入を予定しており、電子カルテや生体情報モニターとの連携が図られる予定です。これにより、医療現場でのデータ導入作業が大幅に短縮される見込みです。
AI学習の継続と改善
医療AI導入後は、現場からの匿名化データフィードバックに基づく継続的なアルゴリズム改善が行われる予定です。この特許技術を用いることで、施設間で一貫した学習データを利用できるため、AIは常に学び続け、性能を向上していく「成長し続けるAI」としての特性を持つことが期待されます。
企業の展望と社会への影響
MeDiCUは、医療機器メーカーやデータベースベンダーとのパートナーシップも視野に入れています。これにより、異なる情報基盤を持つ医療機関間でもスムーズにデータを共有できるようにし、標準化された医療データを利用したリアルワールドデータ研究の加速が見込まれます。
このように、MeDiCUは医療AI技術の進化を通じて、国内外の医療現場における早期介入を確実に支援し、患者の安全性を向上させる役割を果たしていく考えです。
株式会社MeDiCUについて
MeDiCUは、救急や集中治療に特化した国内最大級のRWDプラットフォーム「OneICU」を運営し、AIに基づく医療現場支援サービスを提供しています。今後もデータ解析や機械学習を駆使し、医療の質を向上させるための努力を続けていく所存です。
公式ウェブサイト:
株式会社MeDiCU