日本スポーツ産業の現状
日本のプロスポーツは約60年前の1964年、東京オリンピックを契機に発展し始めました。2021年の東京オリンピックでの金メダル数の記録は、その成長を物語っています。しかし、その裏側にあるのは、ビジネスモデルの構造的な課題です。特に、収益化に向けた国内の取り組みは遅れており、欧米諸国との違いが浮き彫りになっています。
海外との収益力の違い
大谷翔平選手や三笘薫選手が活躍する海外プロリーグ。この背景には、日本のスポーツがビジネスとしての体制が確立されていない実情があります。歴史的に見ても、スポーツは日本では教育や心身の鍛練の手段として捉えられ、大衆娯楽として成長した地域には経験が不足しているのです。これに対し、欧州やアメリカでは、スポーツが娯楽およびビジネスとして成立し、プロ化が進んでいます。そのため、プロスポーツの収益性において、日本は劣後しているのです。
スポーツ産業の資金循環
本書『スポーツビジネス成長論』では、このような状況を打開するため、日本のスポーツ産業の資金循環について徹底的に分析しました。資金循環を可視化することで、日本のスポーツ産業が直面している課題を明らかにしています。特に国内外の資金の流れや興行スポーツの収益性向上、放映権の増加といった要素に注目し、成長サイクルの形成に向けた仮説を提示しました。これにより、日本のスポーツ産業も未来への成長パスを描くことができるでしょう。
分析の視点と展望
本書は、スポーツ産業に関わる経営者にとっても示唆に富んだ内容となっています。特に、地域創生事業に関わるスタジアムの役割や、異なる業種からの協力事例を交えて、スポーツ産業のさらなる発展に向けた情報を提供します。本書の著者である日本政策投資銀行は、その知見を活かして地域活性化に取り組み、スポーツビジネスの新たな可能性を探るための道筋を示しています。
まとめ
日本のスポーツ産業がグローバルに成長するためには、資金循環を改善し、しっかりとしたビジネスモデルを計画することが求められます。本書は、その課題をクリアにするための一助となることでしょう。スポーツファンや業界関係者にとって、必読の書となること間違いなしです。日本のスポーツは、再び国際舞台で輝く日を迎えるために、今こそ成長サイクルの構築が求められています。
書籍情報
『スポーツビジネス成長論』は、詳細な分析と共に、日本スポーツの未来を考える貴重な資料です。ISBNは978-4-911540-03-9で、定価は1600円(税別)。ダイヤモンド・ビジネス企画から発行されています。