生成AIの信頼性向上に向けた品質マネジメントガイドラインの発行

国立研究開発法人産業技術総合研究所（以下、産総研）は、生成AIに特化した品質マネジメントガイドラインの第1版を発表しました。このガイドラインは、企業が大規模言語モデル（LLM）を活用した生成AIシステムを開発および運用する際に必要な基準や手続きを提供します。

1. ガイドラインの背景

生成AIは、近年、高度に発達し、企業や一般の利用者に広くて普及しています。しかし、これらのシステムには誤情報の提供や偏見のある判断によって利用者に影響を与える可能性があります。そこで、生成AIの品質を管理するための手法の導入が急務とされています。本ガイドラインは、こうした課題に対応するものです。

2. 生成AIの品質とは

品質マネジメントの基本は、提供する製品やサービスが利用者や開発者の期待を満たすことにあります。特に生成AIにおいては、正確性や安全性が重要視されます。そのため、品質管理手法を明確にし、利用者が安心して生成AIを活用できる環境を整えることが求められています。

3. ガイドラインの内容

本書は、LLMを部品として用いたAIシステムに対する体系的アプローチを提案しています。具体的には、以下の流れで品質要件を示します：

1. 想定用途の確認 - どのような目的で生成AIが利用されるのかを確認し、それに基づいて品質要件を明らかにします。
2. コンポーネントごとの要件定義 - システムを構成する各コンポーネントに対し、求められる品質要件を具体化します。
3. 管理策の実施 - 各要件を満たすために必要な管理策を適用し、リスク低減と信頼性向上を図ります。

また、ガイドラインでは、主に次のコンポーネントの品質を扱います：

- プロンプト - 生成AIに指示を与えるための入力テキスト
- RAGコンポーネント - 情報検索を活用した出力生成
- 連携コンポーネント - 外部システムとのインターフェース

4. 今後の展望

AIの技術進展は急速で、多様な生成AIシステムが市場に登場しています。産総研では、今後もガイドラインを迅速に更新し続け、最新の技術環境に対応していく方針です。さらに、2025年度人工知能学会全国大会で本ガイドラインの詳細が発表される予定です。

ガイドラインの詳細および最新版は、以下のURLで入手可能です: 生成AI品質マネジメントガイドライン