厚木の古墳を巡るトークイベントレポート
2025年2月2日、株式会社有隣堂は「足元に眠る神奈川の歴史」の刊行を記念して、厚木店にてトークイベント「厚木の古墳と史跡めぐり」を開催しました。この日、講師として招かれたのは、公益財団法人かながわ考古学財団の柏木善治氏。参加者は中学生から高齢者まで多岐にわたる25名で、満席の会場で行われました。
イベント開催の背景と内容
当日は前日の降雪予報もあり交通の混乱が予想されたものの、雨天の中でも多くの方々が集まりました。柏木氏は最初に、かながわ考古学財団がどのような業務を行っているのか、またこの本の制作に至る経緯について語りました。本書は特に神奈川県民が手に取りやすい内容を意識し、実際に県内の史跡を巡るためのマップやイラストを豊富に載せています。
イベントの中で特に厚木に関連する資料を用意し、厚木地域での遺跡や出土品についての詳細な解説が行われました。特に注目を集めたのは「及川伊勢宮遺跡」と「中依知遺跡群」。
及川伊勢宮遺跡
この遺跡は古墳時代前期の代表的な存在です。発見前は円形の高まり評価されていましたが、実際には鍵穴型の前方後円墳として認識されました。この古墳の類似例は県内でも少なく、見学会には1,400人もの来場者があり、注目の集まり方が伺えます。
中依知遺跡群
こちらは古墳時代後期を代表する遺跡で、調査結果として急斜面に10基の横穴墓群が見つかりました。横穴墓は崖に沿って作られ、石積みによって墓前空間も美しく加工されています。
多くの遺跡は調査が完了した後は原状復帰され、現在は残念ながら直接見学することは困難です。しかし、厚木エリアでは登山古墳が見学の選択肢として優れています。埴輪の出土品は「あつぎ郷土博物館」といった場所で見ることが可能です。
熱心な参加者の質問が光る質疑応答
トークイベントの終了後、参加者から多くの質問が寄せられ、柏木氏もその熱心な姿勢に感動していました。サイン会では長い列ができ、柏木氏は「初めての経験で嬉しい」と語り、研究者としてのやりがいを感じた様子でした。
今回は参加者の皆さんが熱心にメモを取る姿や活発な質問が印象的で、その内容が非常に分かりやすく、皆さんの好奇心に応えたイベントと言えるでしょう。本書を持参して、ぜひ神奈川の史跡巡りを楽しんでもらいたいです。
著者プロフィール
柏木善治氏は神奈川県小田原に生まれ、埋蔵文化財調査研究所を経て、現在は公益財団法人かながわ考古学財団で務めています。本書のプロデューサーとしても活動し、文化財保護についての執筆も行っています。
書籍情報
- - 書名: 『足元に眠る神奈川の歴史』
- - 編者: 公益財団法人かながわ考古学財団
- - 出版社: 有隣堂
- - 定価: 1,980円(税込)
- - 発売日: 2024年12月2日
このイベントを通じて、多くの人々が神奈川県の歴史と文化に関心を持ち、さらなる理解を深めるきっかけになることを願っています。