悪性高熱症の新たな解明
2026-05-29 18:24:24

順天堂大学と信州大学が新たな悪性高熱症の発症機構を解明

悪性高熱症の新たな発症メカニズムの解明



最近、順天堂大学医学部薬理学講座の村山尚准教授と信州大学医学部分子薬理学教室の冨田拓郎准教授を中心とした研究グループが、広島大学および東邦大学との共同で、手術時に発症する難治性疾患である悪性高熱症(MH)の新しい原因を明らかにしました。この発見は、悪性高熱症の根本的なメカニズム理解を深め、新たな治療法の開発に貢献する可能性を持っています。

研究の背景とMHについて


悪性高熱症は、外科手術時に使用される吸入麻酔薬や筋弛緩薬が引き金となり、体温の急上昇や筋肉の痙攣、代謝の異常を引き起こす深刻な疾患です。その主な原因は、骨格筋に存在する1型リアノジン受容体(RyR1)からの異常なカルシウムの遊離にあります。通常、筋肉収縮はCaV1.1というカルシウムチャネルを介して調節され、RyR1が開くことでカルシウムイオンが放出されます。

これまで悪性高熱症の多くの患者ではRyR1の異常が確認されていますが、一部の患者にはCaV1.1に遺伝子変異が見つかっています。ただし、CaV1.1の変異がどのようにMHを引き起こすかは不明でした。そこで、研究グループはCaV1.1の変異がMHに与える影響を調査しました。

研究の成果


研究では、悪性高熱症の患者から発見されたCaV1.1の遺伝子変異が、脱分極誘発性のカルシウム遊離(DICR)の電位依存性を高めることが明らかになりました。この変異によって、静止状態でも微弱なDICRが起こり、それが局所的なカルシウム濃度の上昇を引き起こし、最終的にCICRを増強するメカニズムが示されました。

具体的には、研究チームはHEK293細胞を用いて、特定のCaV1.1変異がDICRのカリウム濃度に対する反応をどのように変化させるかを調査しました。その結果、いくつかの変異が野生型と比較してDICRの依存性が高まっていることがわかりました。また、これらの細胞では、カフェインによるカルシウム遊離が増加し、MH様の症状を呈しました。

今後への展望


この研究は、悪性高熱症の発症したメカニズムに新たな視点を提供し、今後の治療法開発において重要なステップとなるでしょう。現在の研究は再構成細胞系を用いたもので、骨格筋の自然な環境を完全には再現できていないため、次のステップとして遺伝子改変マウスを利用した更なる検証が求められます。また、MHは吸入麻酔薬だけでなく、脱分極型の筋弛緩薬によっても誘発されることが知られており、その発症機構についても研究が進められる見込みです。

これを機に、DICRを正常化する新たな治療薬の開発が期待されています。運動や外科手術の安全性を向上させるための研究は、より多くの患者に恩恵をもたらすことでしょう。

研究成果の公表


本研究成果は、2026年5月29日にCommunications Biology誌のオンライン版に掲載され、悪性高熱症の研究分野における重要な進展を示しています。今後も、より良い治療法の確立に向けて、さらなる研究が続けられることが期待されています。


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学校法人 順天堂
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